少子化傾向に歯止めがかからない中、ベビー用品で売り上げを伸ばすのは難しい。ターゲットボリュームの減少以外の理由として指摘しておきたいのは、ベビー服市場が持つ特異性と専門性だ。ベビー服の製造販売にあたってクリアしなければならない課題として「ホルムアルデヒド」を含まない商品提供が挙げられる。これがホルマリン(ホルムアルデヒド37%以上含む水溶液)規制と呼ばれるもので、厚労省の「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」で定められているものだ。
昔、科学の実験などで目にした液体標本に使われる溶液のホルマリンは、敏感な赤ちゃんの肌に高濃度で長時間接触させると、発疹などの皮膚障害を引き起こす恐れがある。このホルマリンという物質は、レーヨン、キュプラのような再生セルローズ繊維製品や高度な防しわ、はっ水加工などを施した素材などに含まれている事が多い。
当然、ベビー服を取り扱う企業ではホルマリン検査を実施して、合格品だけが店頭に並ぶことになる。しかし、このホルマリンのややこしいところは、移染しやすい物質だということ。商品棚、売台仕切用壁、 板、タンスなどの合板類に使われる塗料、壁紙、接着剤のほか、紙箱や包装紙などにも含まれていて、店頭に並んだ商品に移染することがある。
無色透明のホルマリンを目視で確認することはできない。商品生産時におけるホルマリン含有については納品前の事前検査の徹底でクリアできるが、売り場に出てしまってからの移染防止は難しい。よくベビー用品売り場の商品だけに袋掛けされているのを目にすることがあると思うが、それはホルマリン移染防止のための処置。また、各地域の保健所が行う「試売検査」などによって、ホルマリン含有商品の発見に行政側も努めているのが現状だ。
こうして、日本のベビー服市場にはホルマリン規制という安全弁が効いている。しかし、このホルマリン規制は導入していない国もある事から、海外サイトからの個人輸入には注意が必要だ。
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ジーユーがベビー服の販売を開始へ ファッション性と実用性を合わせた商品を低価格で提供Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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