マーケティング・シンカ論

「1日3回」が歯磨き粉市場に起こした“大逆転”とは? ライオンがしかけた啓蒙マーケティングのすごみ消費行動の変化(2/6 ページ)

» 2021年03月26日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

ライオンの業績好調

 ライオンの20年における実績は増収増益です。特に、営業利益の伸び率が前年比147%と躍進しました。営業利益率は12.4%と、消耗品を扱うメーカーとしてはかなり高い数値です。これは、収益性の高いことで知られる花王の営業利益率(20年12月度で12.7%)にほぼ並ぶ実績です。

好調なライオンの業績

 カテゴリー別でみると、一般用消費財が7割近くを占めています。

ライオンの稼ぎ頭は「一般用消費財」

 また、同社の稼ぎ頭である一般用消費財事業は大きく6つの商品カテゴリーによって構成されています。

ライオンの「一般用消費財」は6つの商品カテゴリーで構成される
カテゴリー別構成比の円グラフ

 同社の主力事業は、オーラルケア事業とファブリックケア事業(衣料用洗剤など)です。このうち業界でトップシェアなのは、歯磨き・歯ブラシのオーラルケアと、ハンドソープのビューティーケアの2分野。特に、前者は着実に成長を続けており、市場規模2500億円(口腔ケア食品除く)とされる中で22.8%のシェアを誇るまでになっています。シェア理論でいっても、ダントツのトップグループシェアです。

 では、この市場にはどのような特徴があり、同社はどんな戦略で業績を伸ばしているのでしょうか。

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