新型コロナウイルスが発生し、最初の緊急事態宣言が発出されてから、1年が過ぎようとしています。また、1都3県への2回目となる緊急事態宣言は、ようやく3月21日に解除になりました。ただ、感染者数が下げ止まり、経済回復というにはまだしばらく時間がかかりそうです。そのような状況の中、新型コロナウイルスの影響に絡む企業の倒産件数は1000件を超えました。長引くコロナ禍により、事業継続が困難な企業も出てきています。
一方で、日本は「企業の長寿大国」であることをご存じでしょうか。帝国データバンクの統計によると、創業100年を超えている企業は約3万3000社もあるのです(2019年度時点)。帝国データバンクの登録企業は約147万社あり、登録企業の2.27%にあたる企業が、100年以上の歴史を持っているのです。また、総務省の統計によると、日本の企業数は約386万社(16年時点)あります。つまり、約100社に1社は創業100年を超えている企業なのです。
世界に目を向けてみると、長寿企業大国として日本がいかに特異なのかが分かります。日経BPコンサルティングの「世界の長寿企業ランキング(2020年版)」によると、世界中の創業100年以上企業のうち、41.3%が日本企業なのです。さらに創業200年を超える企業は、なんと65%の1340社が日本企業。世界的にも日本は圧倒的な長寿企業大国なのです。
現在放映されているNHKの大河ドラマ「青天を衝け」の主人公の渋沢栄一は明治期以降、約500社の設立にたずさわったといわれています。1873年に設立された日本最古の銀行である第一国立銀行(のちの第一勧業銀行、現みずほ銀行)をはじめ、JR東日本、帝国ホテル、東京海上日動火災保険、東京ガスなど、今でも約170社が現存しています。
筆者が役員を務めているモザイクワーク社の代表である杉浦は、新潟のおせんべいで有名な三幸製菓出身ですが、この会社も1962年創業で、創業50年を超える老舗企業です。筆者自身も創業100年を超える中小企業の人事部長を経験しており、現在も創業70年を超える企業の人事アドバイザリーを務めています。こうした長寿企業は、多くの素晴らしい特徴を持っています。具体的には、次の3つが挙げられます。
(1)オンリーワンの特徴を持っている企業が多い
(2)経営が安定している企業が多い
(3)社員に温かみのある企業が多い
最近ではスタートアップやベンチャー企業の注目度も高くなり、そちらにチャレンジする人が増えています。その一方で、さまざまな時代の荒波をくぐり抜けてきた長寿企業は、長年培ってきた事業基盤や素晴らしい文化を持っています。こちらも、もっと注目度が高くなってもいいのではないでしょうか。
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