#SHIFT

「仕事中に下品なことを言う」人の未来がない、これだけの理由“いま”が分かるビジネス塾(2/4 ページ)

» 2021年03月30日 08時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

日本の生産性が低い理由

 生産性が低い理由の一つは、日本企業のビジネスモデルが薄利多売型で利益が少ないこともあるが、社員数が多すぎることと、労働時間が長いことも大きく影響している。日本企業の中には、在籍しているにもかかわらず仕事がないという、いわゆる社内失業者が400万人以上存在しているとされ、年間労働時間も先進諸外国と比較して長い。

 加えて日本企業の多くはビジネスのIT化が進んでいないので、社員は顔を合わせて仕事をしなければならない。同じ仕事を多人数で、皆が顔を合わせながら、しかもダラダラと長時間かけてこなしている状況なので、余計な会話をする頻度も高くなってしまう。

海外に比べ、日本人の生産性は低い(出典:日本生産性本部)

 社風にもよるが、労働時間が短い諸外国の企業では、多くの社員が定時で仕事を終わらせようと、それこそ鬼の形相でキーボードを叩いている。欧米にもいわゆるセクハラオヤジは存在するが、そんなことを言っている余裕がないことも、セクハラを防ぐ効果を発揮しているのだ。

 筆者は「心の中で思っていても、発言できないような環境にすれば差別問題が解決する」と主張したいわけではない。この点は誤解のないようお願いしたいが、現実問題として環境が与える影響は大きく、具体的な事案が発生しにくい環境を構築できれば、やがては内面的な改善にもつながってくる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.