砂漠、北極でも生産可能! 空気と電気でつくる食用タンパク質の可能性少量の“うまみ”を含む(2/5 ページ)

» 2021年04月05日 13時30分 公開
[小林香織ITmedia]

環境負荷を最小限にした次世代タンパク質

 ソーラー・フーズは、フィンランドのVTT技術研究センターとラッペーンランタ工科大学(LUT)の研究プログラムから生まれたフードテック企業だ。

 ヴァイニクック氏いわく、ソレインは「発酵」に似たプロセスを採用しているという。まず、電気を分解して発生させた水素に、二酸化炭素、水、ビタミン、ミネラルを組み合わせる。それを微生物に与えてタンパク質を生成させ、さらに熱処理によって乾燥させると粉末状のソレインができあがる。

ソレインの複雑なプロセスを可能にするには、特別な装置が必要となる

 広大な土地を必要とする農業とは異なり、限られた土地、かつ砂漠や北極といった厳しい気候の地域でも生産ができる。殺虫剤や除草剤などを含む農薬も使用しない。使用する電力は太陽光と風力の再生可能エネルギーだ。

 主な原料は尽きることのない二酸化炭素であり、植物や畜産農業に比べて水の使用量も非常に少なくて済む。数字にすると植物の100分の1、牛肉の最大500分の1の水で生産できるという。

 「世界の総人口は増え続けると予想されており、食料不足や温室効果ガス削減への早急な対策が求められています。当社のバイオテクノロジー技術は、より多くの食料を生産することと農地を増やすために森林を伐採することを切り離すことができ、未来をより良く変えられるという確信を持っています」

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