同社は22年中に市場進出を目指しているが、量産への道のりは容易ではないという。現状同社が保有するのは、イノベーション都市として知られるフィンランド・エスポー市内に建設された、小規模のパイロットプラントのみ。実用プラントとほぼ同じ機能を持っているものの、設計データ収集のために試験的に組み立てた施設であり、週に数キログラムしか生産できないという。
「間もなく、商業用の工場建設を発表できそうな段階にはきていますが、残念ながらここも大きな規模ではありません。この工場が問題なく稼働すると証明できれば、サッカーコートほどの大きな工場を建設できます。それには1億ユーロ(約128億円)の資金が必要になるため、段階的に建設を進めています」
同社は、フィンランドの政府系機関であるビジネスフィンランドからの融資を含め、これまでに合計2480万ユーロ(約32億円)の資金調達を実施している。加えて、近々フィンランド政府に大規模な投資を申請する予定だという。しかし、量産施設の建設を踏まえると明らかに資金が不足しているのが現状だ。
これは同社に限ったことではなく、バイオテクノロジーを扱うスタートアップは、どこも似たような課題を抱えている。たとえ世界有数の技術を開発できたとしても、それを利益に変えるのは茨(いばら)の道なのだ。
「資金調達やパートナーとの提携といった課題はありますが、当社は飛躍的にスケールアップしています。1年前に3人だったメンバーは今では15人となり、積極的な採用活動を継続しています。組織というより家族のように近い関係性です。バイオテクノロジーはイノベーションに不可欠であり、これらの技術を研究所から市場へ展開することが、より良い世界の構築につながると信じています」
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