クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

限りなく近づいた自動運転の時代池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/7 ページ)

» 2021年04月19日 08時10分 公開
[池田直渡ITmedia]

 4月8日、トヨタは従来のADAS(高度運転支援システム)を一歩進めた先進運転支援システム「Advanced Drive(アドバンスト・ドライブ)」を、トヨタブランドの燃料電池車(FCV)のMIRAIと、レクサスブランドのハイブリッド(HV)LSに搭載車を設定した。

「Advanced Drive(アドバンスト・ドライブ)」を搭載した燃料電池車(FCV)のMIRAI

 何がどうスゴいのかを、強引に分かりやすくいえば、高速道路の入り口でスイッチを押せば、出口までもうハンドルに触る必要がない。ハンズオフのままシステムが設定したナビと連動して、ジャンクションの分岐ルートを選択し、高速の出口まで連れて行ってくれる。

 もちろん、それは単純化のしすぎであり、少々期待を持たせた言い方ではある。現実には例外や注意点をいろいろと書かなくてはならない。まず誰もが持つであろう疑問である。これはレベル3なのか? 残念ながらAdvanced Driveはレベル2であり、ドライバーが主体として監視しつつ、システムの運転支援を受けるもので、運転そのものを委譲、あるいは委任するものではない。

 トヨタの従来の先進安全システムである「トヨタ・セーフティセンス2.5+」とシステムの何が違うのかといえば、大きなところで3つある。フロントバンパー下にLiDARを装備したこと、高精度地図を採用して自車位置の精密把握ができるようになったこと、そしてドライバーの状態を監視できるドライバーモニターカメラを装備したことだ。もちろん従来通りのカメラやレーダーも装備する。つまりAdvanced Driveは、セーフティセンス2.5+にアドオンされる形で成り立っている。

 そして、3つの新機能によってハンズオフによる経路判断運転が可能になるわけだが、例えば首都高環状線C1あたりだと、時折運転操作をドライバーに戻してくる。一方で都市間をつなぐ、例えば東名高速の非混雑区間であれば、限りなく100%システム操作のハンズオフで行けると、トヨタのエンジニアは言う。未来的な話に浮かれることなく、多分われわれはその意味をしっかり考えた方がいい。

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