クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

限りなく近づいた自動運転の時代池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/7 ページ)

» 2021年04月19日 08時10分 公開
[池田直渡ITmedia]

 そこで、ドライバーが主体的に状況を把握している状態にあるかどうか、具体的にいえばよそ見をしていないかとか、スマホを操作していないか、居眠りをしていないかとか、あるいはもっと深刻な状況でいえば、体調の異変で運転不能の状態になっていないかどうかをステアリングのトルク検知以外のもっと正確な方法でチェックしなければならない。それこそがドライバーモニターシステムだ。

 トヨタ以前に、スバルやマツダ、日産が採用している。車内に設置したカメラでドライバーの状況を確認し、それをさまざまに分析することで、集中力の鈍化や疲労の蓄積などを判断し、アドバイスしたり、警告したり、時にはクルマを停め、それ以上の状況であれば、緊急通報を行って救急医療の要請を行うこともある。それらは全て人の命を救うという大きな目的に集約されていくわけだ。

 そしてこのドライバーモニターがあるからこそ、システムは人を信頼して運転を任せることができる。その結果、ただ「できること」に過ぎなかったシステムによる自動操作を「やっていいこと」にして切り替えていくことが可能になった。そういう意味では、高度運転支援システムやその先にある自動運転にとっては、ドライバーモニターこそが核になる技術であり、これを持たない高度化はただの綱渡り、ホウレンソウのない業務のほっぽり投げとも考えられるのである。

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