攻める総務

想定外の質問が出たら、どうする? 株主総会を円滑に進めるための実務Q&AWebへの対応方法も(3/4 ページ)

» 2021年05月10日 07時00分 公開
[企業実務]

A 近年は、一般株主との対話ないしアピールの場として、来期以降の経営計画の発表、代表取締役による抱負を述べるスピーチなどに力点を置き、説明を充実させる傾向にありましたが、昨年の株主総会では、全体的に総会の短縮傾向が顕著でした。

 本年度の株主総会についても、「決議を行う」という点に着目するならば、できる限り当日の参加者を限定しつつ事業報告等を録音音声とし、すでに株主参考書類に記載されている事項については、会場においては読み上げないことも考えられます。

Q 招集通知等の記載の注意点は?

A 本年度の株主総会は、当然ながら新型コロナウイルスに対する最大限の注意を求めたうえでの来場を要請することになります。

 招集通知においては、マスク着用、手指消毒、事前登録の有無、席数の告知、体温測定、従わない場合の入場制限などは必ず記載しましょう(図表4)。また、事前登録制を採用する場合、動画配信を行う場合などには、それぞれ手順などの説明も必要でしょう。

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 招集通知については、経団連から記載モデルが公表されていますので適宜参考にしてください。

 なお、株主参考書類に関しては、前年に引き続き、コロナ対策特別措置として、単体のBS/PLのWeb開示によるみなし提供が可能となっています。

Q 株主提案権の濫用(らんよう)的行使が制限されたと聞いたが……。

A 令和元年改正会社法によって、株主による「議案要領の通知請求」が10個に制限されました。

 議案要領通知請求権は、取締役会設置会社では、総株主の議決権の1%以上または300個以上の議決権を有する株主にのみ認められた権利であり、株主が提案しようとする議案の要領をほかの株主に通知する権利です。

 単独でも行使できる「総会における議案提出権」(法304条)の規制ではないので、混同しないよう注意しましょう。

 また、議案の個数の数え方については特則があり、「役員等の選任・解任」等は、対象となる人員が多数であっても「選任」「解任」がそれぞれ1個としてカウントされます。

 また、定款変更では個々の変更がそれぞれ1つの議案であることを前提に、異なる議決がされたとすれば相互に矛盾する可能性があるものについては1個としてカウントすることとされています。

Q 株主総会当日に留意すべきことは?

A 来場時、開会時、質疑応答時などのタイミングで、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からの注意事項をアナウンスします。従わない場合は、入場を断ったり、退場を求める場合があることを伝えます。

Q 質疑応答をスムーズに進めるには?

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