攻める総務

想定外の質問が出たら、どうする? 株主総会を円滑に進めるための実務Q&AWebへの対応方法も(1/4 ページ)

» 2021年05月10日 07時00分 公開
[企業実務]

 コロナ禍の株主総会を円滑に進めるための具体的な進行について、ハイブリッド型株主総会の概要を紹介しながら、実務上つまづきやすい点や想定外の質問が出た場合の対処法を解説します。

 改正会社法の施行、Web会議による株主総会の活用など最新の情報も踏まえて、事前の準備、当日の議事進行、質疑応答などについて、注意すべきポイントをQ&Aの形で解説します。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

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 本記事は、2021年5月号に掲載された「株主総会を円滑に進めるための実務Q&A」を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集し、転載したものです。


Q 株主総会の準備は何から始めるべき?

A コロナ禍か否かにかかわらず、まずもって大事なのは、本番から逆算して、「いつまでに」「どの程度の」準備を終わらせておくかというスケジュールを把握することです(図表1)。

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  • (1)基本方針の決定

 安定株主が存在する会社では、あらかじめ結果が分かっていることも多く、このような場合でも、株主総会を「会社所有者による意思決定の場」という法的機能に重点を置いて考えるのか、それとも「経営陣と株主との対話・対外的アピールの場」と捉えるのか、この基本方針によって、株主総会の準備は大きく変わってきます。

  • (2)ワーキングチームによる準備

 株主総会を開催するにあたって、部署横断的な準備や法定期限の管理も必要となってきます。総務部などを中心としたワーキングチームにより全体の管理をしつつ準備を進めることが重要です。

Q Web会議による株主総会を開催するには?

A Web会議による株主総会の方式としては「Web参加者を、総会の出席者として扱わない方法」(参加型)と「Web参加者も来場者と同様に議決権行使や質問権を行使できる方法」(出席型)があります。

 出席型では株主総会の取消しリスクがあるため、議決権のカウント、質疑打切りのタイミング、通信トラブル時の取扱い(復旧までの休会)など、入念にルールを決めておく必要があります。

 Web配信を行う場合、第三者の閲覧を制限する場合が多いと思いますが、対外的アピール機能を重視して、閲覧者を制限しない形態もあります。

 サイボウズ社が2021年3月総会で、通常の株主総会の開催に加え、その場に所在しない株主が、インターネットなどの手段を用いて会社法上の「出席」をすることができるハイブリッド出席型総会(図表2)としたうえで、閲覧制限をかけずライブ配信を行った例などがあります。

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 なお、産業活力再生特別措置法により、認定を受けた企業について、通常の株主総会を開催することなく、取締役や株主等がインターネット等の手段を用いて、株主総会に会社法上の「出席」をするバーチャルのみの株主総会開催を可能とする法案が審議中ですが、2021年6月総会に間に合うよう準備するのは非常に難しいと考えます。

Q リハーサルの回数や出席者は、どのように決めればよいか?

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