大ブームから大凋落の“シェア自転車”伏兵が米上場〜日本進出のモバイク、ofoは消える浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(4/5 ページ)

» 2021年05月13日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

電動バイクなど多角化、なお赤字

 では、ハローバイクのビジネスは採算に乗ったのか。答えはイエスでもあり、ノーでもある。

 同社の売上高は、18年が21億1400万元(約350億円)、19年が48億2300万元(約820億円)、20年が60億4400万元(約1020億円)と順調に拡大している。

 一方、純損益は18年が22億800万円(約370億円)の赤字、19年が15億400万元(約250億円)の赤字、20年が11億3400万元(約190億円)の赤字で、依然として赤字が続いている。

 シェア自転車業界はブームの頃から「シェア自転車だけでは採算が成り立たず、別の収益の柱が必要」といわれてきた。

 ハローバイクはシェア自転車事業に「電動自転車」を追加し、19年にはアント・グループ、世界最大の車載電池メーカー・寧徳時代新能源科技(CATL)と共同で、電動自転車向けバッテリー交換ロッカーの運営を始めた。さらに、自動車の相乗りサービスにも進出。

ハローバイクのホームページでは、電動自転車も紹介されている
街中に設置される「電動自転車向けバッテリー交換ロッカー」。バッテリー交換は6秒で行えるという(リンク

 相乗りサービスは滴滴出行(DiDi Chuxing)の一強市場だったが、同社が19年に重い行政処分を受けたため、その間隙を縫って成長しハローバイクは業界2位まで伸びている。

 そして今年4月、同社は自社製造の電動バイクを発表した。ネットとつながりスマートフォンと連携できるのがウリで、コネクテッドEVのバイク版といったところだ。

 空前のブームと秩序なき大乱戦から5年を経て、シェア自転車は確実に市民の足として定着した。ハローバイクの成長性については賛否両論あるが、とりあえずは外出全般を事業領域とする青写真を描き、実行し、上場までの道筋をつけたといえる。

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