中規模企業が次々に破たんし、ofoとモバイクが死闘を繰り広げていた17年当時、ハローバイクの影は薄かった。
ofoとモバイクは海外に打って出たことで日本のIT業界でも脚光を浴び、メルカリなどが類似サービスを始めるなどちょっとしたブームになったが、今から振り返ると業界全体が酔っぱらっていた状態だった。
一方、杭州市で創業した後発のハローバイクは、一気に規模拡張できる体力がなく、競合の少ない地方都市にサービスエリアを広げていた。18年に入りofoやモバイクが資金難に直面するのとは対照的に、堅実な運営を続けていたハローバイクは、アリババの金融子会社アント・グループから複数回にわたって資金を調達し、アリババグループの強力な後ろ盾を得ることとなった。
そして同年3月、同社はアントの信用スコア「セサミ・クレジット(芝麻)」の点数が650以上のユーザーを対象にデポジット(保証金)を免除すると発表した。
中国は物を借りたりサービスを利用するのに、比較的高額のデポジットを払うカルチャーがある。ホテルでもチェックインの際に宿泊料以上のデポジットを要求されることが多い。
シェア自転車もデポジット制度を導入していたが、運営企業の管理がずさんで、企業が経営破たんした際に返金されないことが社会問題化していた。
セサミ・クレジットはAIで消費者の信用を算出し、スコアが高い人にはさまざまな優遇措置を提供してきた。ハローバイクはアント・グループの一員となることで、シェア自転車業界ではいち早くデポジット免除を実施し、他社のユーザーを奪い取ることに成功した。
上場延期で衝撃、中国・アントを知る5つのキーワード
史上最大のIPOと注目されていた中国アリババの金融子会社アント・グループの上場延期が11月3日に発表された。ジャック・マー氏ら幹部3人が前日に金融当局の指導を受け、上場計画の見直しを迫られたことが理由だ。本稿ではアントの歴史や事業構造、今後の見通しなどを5つのキーワードからひも解いていく。
テスラからの争奪戦が勃発、中国自動車業界へ参入するメガITの勝算
2020年の自動車業界の最大トピックは、トヨタを抜き世界首位となったテスラの時価総額だろう。販売台数ではトヨタの10分の1もないが、中国マーケットを取り込んで業界に変革を起こし、中国新興EVメーカーは勢力を拡大、さらにメガIT企業の参入も呼び込んだ。そこで21年に台風の目となりそうな、中国自動車業界の注目トレンドを紹介したい。
異色の高卒起業家が率いるEVメーカー「理想汽車」、理想を捨て実現したIPO
7月30日にナスダックへ上場した、中国EVメーカー「理想汽車」がナスダックに上場した。2014年に中国で多数設立されたEVメーカーがコロナ禍で次々と破綻するなか、今回の上場で一歩リードし、テスラのライバルを名乗る資格を手にしたと評されている。IPOに至る道のりをを通して、中国マーケットの豊かさと厳しさを紹介したい。
アリババとシャオミの寵愛受けた「小鵬汽車」が描く“呂布”テスラを倒す道
コロナ禍を機に活気づく中国のEV業界。米市場へ上場した中国EVメーカーには、2018年上場の蔚来汽車(NIO)、20年7月30日上場の理想汽車、そして8月27日に米ニューヨーク証券取引所へ上場した小鵬汽車がある。小鵬汽車の何小鵬CEOは6月、三国志の呂布にテスラのイーロン・マスクCEOを、そして呂布と戦う3人に米上場3社のCEOを例えた投稿を行った。ここでは同氏の投稿の意図を紐解いていく。
フィンテック「金縛り」のアリババ、市場予想を上回る決算発表 〜今後はローエンド市場を強化
アリババグループは2月2日、2020年第3四半期決算を発表した。中国当局の監視が厳しくなる中、売上高は前年同期比37%増の約3兆5600億円、純利益は同52%増の約1兆2800億円と、市場予想を上回るものとなった。今後は、コロナ禍の消費変化に対応する新事業やのローエンド市場を強化する方針を強調した。
中国の春節は「Not Go To トラベル」〜帰省させず特典配布
昨春に新型コロナウイルスをほぼ収束させた中国で、再び感染者が増えている。中国政府は「民族大移動」とされる春節の帰省による感染拡大を危惧し、「Not Go To トラベル」キャンペーンともいえる、さまざまな支援を提供するという。「帰省しないで居住地にとどまる人」へどんな支援があるのだろうか。
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