「社内で学びを小さなコミュニティーで広げていく動きが活発で、各人が企画して、自分の得意なスキル等を他の社員に教える『塾』のようなものが、あちこちで立ち上がっています。特にいまはオンラインでのそうした塾が、どんどん増えてきていますよ」(柴口氏)
その一例が「エクセル塾」だ。これはテクノロジー本部に所属する社員が、自身のもつエクセルのスキルを他の社員の生産性向上にも役立てたいということで企画したもので、いまでは同社グループ全体の多数の社員に広がっているという。
また、同じく社員の自主的な取り組みながら、組織・人材開発部がサポートしているものとして、昨年生まれたのが「PCA(パーソルキャリア)アカデミア」だ。これは同社の有志メンバーが中心になって立ち上げた、社員の自律的な学習を推進する全社横断の組織である。前述のエクセル塾の主宰者も、このゼミの修了生だ。いまはオンラインでの開催だが、コロナが収束して対面で行う場合の会場の提供や支援についても検討中である。
さらに、パーソルグループ社員の有志が、ダイバーシティー関連の学び合いを行う「OPEN PERSOL」というコミュニティー活動も生まれている。これはダイバーシティーを推進していくために何らかの課題感を共有している人たちが、やはり自主的に集まって活動しているものだ。
このほかにも同社では、社員個人の学びやキャリアについて考えてもらうための制度を用意している。
グループ社員が労働時間の一部を使って、最大3カ月間、グループ内の他部署の仕事を体験することができる。自律的な学びとキャリア選択のきっかけを得てもらうことを目的とした取り組み。
社員自身のキャリアデザインと成長のために自発的に異動希望が出せる社内公募制度。
このように、自主的な活動を含めて、学び直しをはじめ学びやキャリアにかかわるさまざまな取り組みが積極的に行われている同社。そのなかでも、人事としての今後の課題を聞いてみた。
「実は私自身も学び直しをしている一人で、5年ほど前に大学院に通ったのですが、そのときは前述のFLASH の制度がなかったため、心理的な障壁がありました。会社員としてこんなことを上司に相談していいのだろうかとか、業務に影響が出ると思われるのではないかとかいろいろ悩んだわけですね。でもいまはFLASH の制度が整っているので、もしも私のような気持ちで一歩踏み出せていない人がいるのなら、安心して制度を利用して学び直しをしていただきたいし、そういう制度の存在などをもっと広く認知させていくことも、人事としての課題だと感じています」(中曽根氏)
「学びが必要な人はまだかなりたくさんいると思います。そういう人たちにどう情報を届けて、一歩踏み出して学んでみようと思ってもらえるようにするか。サポートしてくれるような仲間との場などをこれからもできるだけ多く用意して応援していきたいと考えています」(小松氏)
パーソルキャリアでは、学び直しを含めて、学びの主役はあくまでも社員自身。会社としては、それを今後もいろいろな角度からサポートし続けていく。
(取材・文 中田正則)
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