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» 2021年05月27日 12時00分 公開

マニュアル化で1年目から全員酒造り 日本酒「紀土」の平和酒蔵に大卒しかいない理由平和酒造4代目が考える「個が立つ組織」【後編】(4/5 ページ)

[河嶌太郎,ITmedia]

採用のターゲットを大卒に絞る意味

――自分で考えられる人材を採用するために、採用のターゲットを大卒に絞っているわけですね。こうした改革に着手した結果、15年間で売り上げは2倍に。経常利益も17%上昇させています。ここまでは社員の意識改革の話を聞きましたが、そこからどのように収益を伸ばしていったのでしょうか。

 実は僕自身がベンチャー企業にいたこともあり、これでも成長が遅いと実感している部分はあります。ただ一方で、積極的に販路を拡大することはしていないんですよ。実は、当社には営業の担当がいなかったりします。

――酒屋や日本酒イベントなどで平和酒蔵の社員が販促する姿は見たことがありますが、あれはつまり普段は酒造りをする蔵人自ら営業として立っているということですか。 

 そういうことなんです。製造スタッフに法被を着せて店頭に立たせています。これにはちゃんと理由があって、スタッフに「酒を造る仕事は、お客さんを感動させてありがとうと言ってもらうためにやっていることなんだ」と分かってほしいからなんです。いいものを作ればお客さんにも応援してもらえてリピーターになってもらえるんだということを肌で感じてもらいたいですね。

――確かに作り手自らがそういう機会に触れられれば、普段の酒造りのモチベーション工場にもつながりますね。近年では国内の顧客だけでなく、海外の顧客ニーズも増えていると思いますが、現状はいかがでしょうか。

 当社でも17カ国に商品を輸出をしていて、その数も増えてきています。ただ、国によって状況が全然違ったりもします。

 例えば、中国や香港、台湾、韓国などの東アジアだと日本から近いこともあり、現地の方の日本酒への関心も高かったりします。米国でも日本酒が人気ですが、これは新しもの好きな文化があるからなのかなと考えています。東アジアと米国の市場には日本酒が入り込めています。

 加えて東南アジアでも、日本酒市場が成長している段階にあります。人口が多い地域ですので、これから掘り起こしていく市場だと捉えています。一方で南米はまだまだこれからで、未開拓のエリアですね。このように、国によって取り組みや戦略変わってきます。

国内の日本酒の出荷量は1972年にピークを迎え、その後は右肩下がり。出荷量は4分の1、最盛期の25%にまで落ちている(農林水産省「日本酒をめぐる状況」より)

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