中期計画では2022年3月末までに、店頭デジタル化による生産性向上によって、りそなグループの総人員を3100人(9%)減らすことを掲げている。これについて南社長は「関西みらいフィナンシャルグループ傘下の関西アーバン銀行と近畿大阪銀行が2019年4月に合併した。合併直後なので効率化を進めるために人員が減る。減少の多くは自然減によるもので、退職勧奨のようなことはしない」と述べた。
その一方で、デジタル人材などを強化するためにキャリアの中途採用は「これまでの3倍採用する。19分野の人財も含め、変化の速い時代に『時間を買う』ということだ。銀行員の専門性、多様性教育はリカレント教育も含めて拡充するが、外部で知見を持って第一線で働いている方にはできるだけ早く入ってきてもらいたい。銀行員もそうした人の周りで仕事をすることで、『そういう見方もあったのか』と気づいて変わっていく。こうした異なる価値観を持った集合体がイノベーションを起こせると思う」と、新たな人材採用の効果に期待を寄せている。
地方銀行との連携については「共創のプラットフォームになりたいと思っている。銀行再編の話になると、資本を出すか、勘定系と呼ばれる大きなシステムを共同で開発するか、合併するかしかなかった。しかしテクノロジーが進化していて、自社だけでなく他社のサービスを使って商圏が広がっていく、『APIエコノミー』という形で比較的簡便で安価に取引を連携できるようになってきた。
りそなは100年以上、地域金融機関としての立場なので、同じ土俵で戦っている地方銀行の強みや弱み、悩みもよく理解している。20年に連携することになった栃木県の足利銀行と、茨城県の常陽銀行を抱えるめぶきフィナンシャルグループとはデジタル分野で、横浜銀行とは(投資先ファンドの選定など資産運用に関するサービスを総合的に提供する)ファンドラップの運用のところで協力することになった。現在24の連携タイプを用意しているが、お互いにハードルを低くしてウィンウィンの関係で連携を進めていきたい」と指摘、連携には前向きだ。
南社長はこの連携の先を見据えている。「APIでつながっているということは、りそながネットワークを持っていない、めぶきフィナンシャルグループ傘下の栃木県、茨城県のお客さまと間接的ながら関係を持つことができ、栃木、茨城県のお客さまともウィンウィンになれる。デジタル化が進むとネットワーク系が重要になり、双方向でどれだけ多くの数、面積を持っているかが、入ってくる異業種から見ても大きな意味がある」とみている。
つまり、フェース・トゥ・フェースだけではないネットワークの先に顔が見えなくても顧客を抱えていれば、それだけ増幅効果が期待できるというわけだ。
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