画像を見ていただきたい。ベッドの上に「どーん」と木の箱が置いてある。直方体のような形をしていて、板がない面から頭を入れるのだ。「むむ。おもしろグッズをつくって、ウケを狙っているんでしょ」と見た目で判断してしまったが、生みの親である同社の梶原哲也社長に開発背景を聞いたところ、真面目にそして真剣につくったことがうかがえたのだ。
開発背景などを紹介する前に、この商品のことを簡単に紹介しよう。スリープ・ラボはシングルベッドでも置けるように設計されていて、サイズは幅80センチ、奥行き70センチ、高さ60センチ。遮音性を高めるために、側面の厚みは30ミリに(最初のモデルは22.5ミリ)。また、遮光カーテンが付いているので、部屋が少し明るくても、箱の中は暗くできるのだ。
それにしても、なぜこのような商品を開発したのだろうか。いびき防止グッズをいろいろ試してみたけれど、どれも効果がなかったので「じゃあ、音を小さくすればいいんでしょ」と思ったのかも。ホームセンターで板を買って、自宅でトントントンと組み合わせてつくったようにも思えるが、実際はどうなのだろうか。先に答えを申し上げると、その通りであった(汗)。
当初、自分用につくったモノで、販売することは1ミリも考えていなかったという。しかし、周囲から「販売すれば、売れるのでは」といった声もあって、本格的に動き出す。防音効果を高めるために内壁にフェルトなどを貼ることで、音を軽減することに成功。商品化するにあたって、家具店の職人さんにお願いしたところ、快く引き受けてくれたそうだ。
金槌を叩く音のようにトントン拍子(トントンの語源は、舞台で師匠の手拍子に合わせて踊るときに、調子よく床を踏む「トントン」という音からきている)に進んで、2016年に完成。で、音はどうなったのか。騒音の基準である60デシベル(非常に大きく聞こえうるさい、声を大きくすれば会話ができる)を40デシベルまで軽減することに成功した。4月に登場した最新モデルは、側面の厚みなどを増すことによって、35デシベル(郊外の深夜、病室内、落ち葉の音)にまで落とすことができたのだ。
ちなみに、累計の販売台数は30台ほど。販売期間を考えると、お世辞にも「ヒット商品」と呼ぶことはできないが、ちょっと気になるデータもある。購入者は女性が多いのだ。自分用のために買っているのか、それとも旦那さん用に買っているのか。購入目的は分からないが、旦那さんのいびきがあまりにもうるさいので、「ほら、買ってきたわよ。今日からこの中で寝なさいっ!」といった恐ろしいやりとりがあったのかもしれない。
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