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» 2021年05月30日 07時00分 公開

フジテレビの女子アナによるステマ疑惑が金銭トラブルに発展した理由専門家のイロメガネ(3/5 ページ)

[中嶋よしふみ,ITmedia]

SNS出演を禁止すれば防げた

 現状でフジテレビはステマではないと答えているだけで、就業規定違反で処分をしたといった話は出ていない……。という状況だったのだが、記事を完成させて公開する直前の5月28日にフジテレビから処分が公表された(それを受けて一部、加筆修正を行った)。

 毎月の定例社長会見に代わって行われた、記者クラブの質問に対する回答は以下の通りだ。

Q アナウンサーにステルスマーケティングの疑いが報じられた件について

 外部の弁護士も入れた詳細なヒアリング調査を実施した結果、社員就業規則に抵触する行為が認められた。「対価性があるのではと疑われるような行為」については、放送人としての自覚が問われる行動であり、関係者に対し厳正に対応した。指導が行き届いていなかったことなどに対して、社としての責任を痛感している。今後も社員に対しては、放送に携わる者として自律的行動をとるよう指導を徹底していく。

ニュースリリース 2021年5月度社長会見について フジテレビジョン株式会社 2021/05/28

 これまでも多数のメディアでステマ疑惑として報じられたとはいえ、女子アナ個人が起こしたささいなトラブルとして「芸能ネタ」扱いだったものが、就業規則に抵触、厳正に対応、と公表されたことで全国紙や通信社までが報じる「ニュース」に格上げされた格好だ。

 筆者は前回の記事で、女子アナには自身のアカウントでステマの禁止はもちろん、商品やサービスを紹介する際は明確にルールを作る、金品をもらった場合は宣伝を禁止する、他社のSNSアカウントに出演することも禁止すべきと書いた。ステマ及びステマ疑惑を防止するためにはこれくらいのルールは最低限必要となる。

 他社のSNSアカウントに出てしまえば、今回のように削除をお願いしても対応してもらえない、といったコントロールできない問題が発生する。友達と一緒に撮った写真を勝手に宣伝に使われたならば落ち度があるとは言えないが、エステを運営する企業が写真を使わせてほしいということであれば宣伝以外の何ものでもない。

 だから女子アナの認識が甘すぎるとか非常識とか批判をしてもしょうがない。SNSに対してどのような認識を持つかは人によって異なる。始めからフジテレビが社内規定として他社のSNSに出ることは禁止、違反すれば懲戒解雇もあり得る、と厳しくルールを定めていれば今回の問題は簡単に防ぐことができた。つまり今回の問題はあくまで女子アナ個人の問題ではなくフジテレビの企業としての問題だ。

 4月30日、定例社長会見の代わりにステマ疑惑へ書面で回答した際には、「引き続き事実関係の詳細を確認しておりますが、その結果も踏まえ、改めて放送に関わる者として相応(ふさわ)しい行動をとるよう指導してまいります」とコメントしている。本来処分や指導されるべきは女子アナではなく、週刊紙で報じられるまで問題行動を放置していた経営陣だ。

 現在もステマ疑惑は女子アナ個人が起こした問題と認識されているが、実際は宣伝に堂々と写真を使わせていたことから、就業規則に違反している認識はゼロだったのだろう。そして複数の女子アナが同じことをやっていた点を見ても、組織として管理と指導に問題があったことは言うまでもない。

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