2人に1人は不眠症? 「世界一眠れない日本のビジネスパーソン」がつくられていく構造的な理由スピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2021年06月01日 08時58分 公開
[窪田順生ITmedia]

 「寝れないのなんて、当たり前っていう感じ。寝るって、寝れるわけないよねみたいな。朝方まで寝れない。高校生くらいから」

 お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さんの“告白”に共感をした方も多いのではないか。女優・深田恭子さんが「適応障害」で活動を休止するというニュースを受けて、情報番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)の中で、松本さんが自身も40年近く不眠症状が続いていることを明かしたところ、ネットやSNSでは「その気持ちよく分かる」「有名人がこのように公表すると、自分だけじゃないと安心する」という声が多く寄せられているのだ。

不眠に悩む人は多い(ゲッティイメージズ)

 このような反応になるのも当然で、実は日本は「不眠症大国」と言って差し支えないほど、不眠に悩む方が多い。もちろん、不眠症はどこの国にも存在し、特にコロナ禍になってから各国で大きな社会問題となっているが、日本ではコロナ前からケタ違いに不眠症がまん延していた恐れがあるのだ。

 MSDが2014年に、WHOも採用する国際基準「アテネ不眠尺度」を用いた「不眠に関する意識と実態調査」を行ったところ、20〜70代の男女7827人の中で「不眠症の疑いがある」は38.1%で、「不眠症の疑いが少しある」が18.4%と合わせて56.5%もいた。

日本人の2人に1人は不眠に悩まされている(出典:MSD)

 つまり、予備軍を含めると日本人の2人に1人は不眠に悩まされている実態が浮かび上がった。これはかなり高い水準の数値で、本調査レポートにコメントを寄せた、内村直尚久留米大学医学部神経精神医学講座教授も、「不眠症の有病率は諸外国を含め、一般に6〜10%とされているが、日本ではそれよりはるかに多い可能性が示唆された」と驚いている。

 ちなみに、寝具メーカーの東京西川も18年より同じ方式で1万人規模の調査をしており、20年には「不眠症の疑いが高い」が49.1%と同じような結果が出ている。

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