では、なぜ日本にはここまで不眠症が多いのか。まずやはり大きいのは、日本のビジネスパーソンが世界トップレベルのストレスを感じていることが無関係ではないだろう。
NHKも参加しているISSP国際比較調査「仕事と生活(職業意識)」(Work Orientations IV−ISSP 2015)によれば、「仕事にストレスを感じることがある」という質問に対して、日本の男性は50%があると回答して、参加した31カ国の中でトップ。女性も46%で、スウェーデンやスロベニア、ベネズエラに次いで4位だ。
このような仕事中のストレスが不眠症を引き起こすことは、さまざまな調査によって明らかになっている。例えば、5月24日、東北大災害科学国際研究所の臼倉瞳助教らが、新型コロナウイルスで電話相談にあたる保健所職員のうち約7割に不眠症状がみられたというアンケート結果を公表した。
ご存じのように、コロナ禍になってから保健所の電話相談窓口は、日本で最もストレスフルな職場の一つとなった。「なんで熱が出たのにPCR検査が受けられないんだ!」「国民の命を守らず何をやっているんだ! この税金ドロボーめ!」。そんな罵詈雑言や無理筋のクレームを朝から晩までシャワーのように浴びせせられたら、心がポキンと折れ不安や恐怖から眠れなくなってしまう、というのは何かしらのお仕事をされている方ならば理解できるのではないか。
「月曜日に会社に行くのが憂鬱(ゆううつ)で、日曜の夜はちっとも眠れない」
「明日も上司から厳しく叱責されるのかと心配で結局、朝まで悶々としていた」
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