もう一つの特徴は、巣ごもり志向の反映だという。
越境EC関連では、アロマグッズや家飲みを想定した果実酒が前年より売れ行きを伸ばしており、「10年前はアルコールといえばワイン、ビール、白酒くらいだったが、初心者や若い女性をターゲットにした低アルコール果実酒の人気がすごい。手軽に飲める小さなサイズのものが売れているのも特徴」(アリババ・ジャパン)。
消費の成熟も顕著で、植物由来の「代替肉」、ペット向けサプリメントも伸びが著しいという。
これらの商品のターゲットは18〜30歳の「Z世代」。特に、好きなものに支出を惜しまない都市部の女性の心を捉えられるかが重要なポイントとなっており、ここ数年で急成長している中国消費財ブランドの多くが、高所得の独身女性に支えられている。
最近中国政府が「3人目の出産を容認」する方針を打ち出した際、北京で働く20代女性は、「子どもは手と金がかかるので、私はワンちゃんでいい」と答えた。
アリババによると、ペット用ヘルスケア製品(輸入品)の販売数は6月1日のセール正式開始から12時間で、前年比2000%増を記録したという。
たしかに、子どもの塾代に比べるとペット用サプリメントは大した金額ではないし、満足感も得られやすい気がする……。
若い女性が高付加価値品やぜいたく品にお金を使うのは、新興ブランドや海外の中小企業にとって歓迎すべきことだが、少子化に悩む政府にとってはジレンマそのものかもしれない。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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