一等地にあるATMがまた「撤去」 跡地はどうなっているのか週末に「へえ」な話(2/3 ページ)

» 2021年06月19日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

キッチンカーやパン屋

 いやいやいや、本当にそうなのか。ちょっと調べたところ、ATM跡地を活用する動きが出ていたのだ。スペースシェアサービス事業を展開している「軒先」(東京都千代田区)の西浦明子社長に聞いたところ「横浜市にある相鉄線の二俣川駅からすぐのところに、メガバンクのATMブースがありました。ここは30年ほど前からATMが設置されていたのですが、いまはキッチンカーなどの出店場所として活用されています」とのこと。

ATMの跡地にキッチンカー

 ふむふむ。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、街中にキッチンカーをよく見かけるようになったが、クルマ一台で商売ができるので、ATMの跡地でも十分にやっていけるわけである。事例はまだまだあるようで、「港区の外苑西通りと国道246号の交差点にもATMがありましたが、ここも撤退。その後、期間限定で催事のポップアップスペースとして使われていますね」(西浦さん)

 2つの事例は、いずれも「短期」で使用している。土地・建物のオーナーからすれば、「テナントが入らなければお金が入ってこないだけでなく、固定資産税などを支払わなければいけない。せめて、税金ぶんくらいは稼ぐことができればなあ」といったことを考えて、長期の借り手が決まるまで、とりあえず貸しているケースがあるようだ。

 一方で、「長期」で店を構えるケースも出ている。それは「パン屋」だ。2016年に大阪でオープンした食パン専門店「高匠」は、関東、関西、北陸エリアに展開していて、現在31店舗を構えている(5月末時点)。そのうち、4店舗は“ATMの居抜き”である。

 5月27日にオープンした大泉学園の店舗面積は約3坪。狭いスペースの中に食パンがズラリと並んでいるわけだが、同社は「今後もATMの跡地や、コロナ禍で閉店となった小スペースの店舗、駅構内売店跡地での出店も計画している」という。

高匠「大泉学園店」はATM跡地に出店
ATM居抜き店舗

 さらに調べたところ、同じような事例があった。滋賀県のJR草津駅から徒歩10分ほどのところに、食パンを販売する「銀座に志かわ」がある。ここも以前はATMがあった。関西テレビの情報番組『報道ランナー』の取材に対し、店長の竹久尚志さんはこのように答えている。「ATM跡地っていうのはATMの機械だけしかありませんから、形も直方体できれいな形ですので、ちょうどいいサイズだと思っています。(改装時)クロス張替だけで済むなど、自動ドアとかも全くいじっておりませんから。改装費用というのは抑えられたかなと思ってます」と。

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