と、ここまで書いて、筆者は15年ほど前に起きた、あることを思い出したのだ。「ATMとよく似ている」といえば、勘のスルドイ読者であれば、すぐにピンときただろう。消費者金融の「無人店舗」である。
店舗のスタッフと会わずにお金を借りることができるので、無人の店はどんどん増えていく。「消費者金融が銀行を飲み込む日がやって来るのでは」といった声が出るほど、勢いがあったわけだが、2006年の改正貸金業法によって、個人ローンの上限金利の引き下げが決まった(年29.2%→年15〜20%)。また、年収の3分の1を超える貸し付けは禁止されることに。その後のことは、ご存じの通り。消費者金融の収益は急速に悪化して、人員削減だけでなく、無人店舗もどんどん閉じていったのだ。
で、ここでクエスチョンである。消費者金融の無人店舗の跡地はどうなったのだろうか? さまざまな店がそこを活用したわけだが、中でも目立ったのは「携帯電話ショップ」である。広さは2〜3坪しなくても、立地がよかった。というわけで、「採算がとれていた」のだ。
15年ほど前には、いわゆる“街の携帯電話屋さん”があって、狭い店内には端末がびっしり並んでいた。「最新機種0円」などと書かれた張り紙もたくさんあったが、いまはほとんど目にすることがなくなった。歴史をちょっとさかのぼると、狭い空間であってもさまざまな企業が、いろいろな知恵を絞って、そこで商いをしていることがうかがえた。
ガガガガガガ――。工事の音はうるさいが、跡地に“おもしろいビジネス”が生まれるかもしれない。そう考えると、時代の変化も楽しめそうである。
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