自動車保険は値下げするのに、火災保険料がどんどん値上げするワケ契約期間は5年短縮(2/4 ページ)

» 2021年07月02日 07時00分 公開
[品木彰ITmedia]

火災保険料の参考純率が見直される背景

 なぜ、これほどまでに火災保険の参考純率の見直しが続いているのでしょうか。その理由の一つに台風や豪雨などの自然災害で保険金の支払いが増加し、火災保険の収支が悪化していることが挙げられます。以下は、17〜20年度までに発生した主な風水災と、火災保険の支払保険金額をまとめた表です。

主な風水災と支払保険金額(火災保険)
年度   主な風水害 支払保険金  合計
17年度 平成29年台風18号 300億円 1378億円
平成29年台風21号 1078億円
18年度 平成30年7月豪雨(西日本豪雨) 1520億円 1兆3578億円
平成30年台風21号 9202億円
平成30年台風24号 2856億円
19年度 令和元年台風15号(令和元年房総半島台風) 4244億円 9150億円
令和元年台風19号(令和元年東日本台風) 4751億円
令和元年10月25日の大雨 155億円
20年度 令和2年7月豪雨 848億円 1780億円
令和2年台風10号 932億円
出典:日本損害保険協会

 火災保険は、大規模な自然災害が発生すると支払保険金額が大幅に増加しやすい保険です。17年度の支払保険金額は年間で1378億円だったものの、18年度は、西日本を中心に洪水や河川の氾濫、土砂災害などが発生した平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の影響もあり1兆3578億円。19年度も房総半島台風などにより9150億円と増加しました。

(画像提供:ゲッティイメージズ)

 また18年における火災保険の正味損害率は、東京海上日動火災保険が111.2%、損保ジャパン日本興亜が107.2%、三井住友海上が104.9%、あいおいニッセイ同和が106.5%でした。正味損害率とは、簡単にいうと収入保険料に対する支払った保険金と損害調査費用の合計額の割合です。正味損害率が100%を超えていると、保険金の支払いを保険料収入でカバーできていなかったことを意味します。

 近年、自然災害による被害が拡大しているのは、地球温暖化の影響とみられています。気温が上昇すると、雨の降らない日が増える反面、水蒸気が空気中にため込まれる時間が長くなって強い台風や豪雨が発生しやすくなるといわれています。

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