評価項目に育成を加えたうえで、部下の成長を加速させるためには、どのようなマネジメントが必要なのだろうか。
「マネジメントの大原則は『相手の得手不得手を理解し、チームが1番成果が出せる組み合わせを考えること』です。野球などのチームスポーツに例えると、分かりやすいと思います。守備は得意だが、バットは振れない。ホームランをたくさん出すが、その分三振も多い、など人によってさまざまです。部下のタイプや癖などを把握し、最も働きやすい環境を作ったり、仕事の振り方を調整したりすることが求められます」(岩瀬氏)
また、面白い仕事や、成長できる機会を提供し続けることも重要だという。少しだけ難しい課題を出し、取り組ませることで常に成長している実感を持たせるやり方だ。
「バッターボックスに立たせ続ける」ことは、確かに部下に成長を感じてもらう上で重要かもしれない。しかし、いきなり打席に立たされても「どうすればいいのか分からない」という人も多いのではないか。
社会人1年目は「猶予期間」だ。失敗しても許されるし、初歩的な質問をしても怒られることはない。2年目以降は、年下の模範となることが求められ、自分が関わってるプロジェクトも軌道に乗せていく必要に迫られる。しかし、思うようにいかない。そういった悩みを抱える人も多いだろう。いきなりバッターボックスに立たされても、足元から崩れ落ちてしまう可能性だってある。
「ただ打席に立たせるだけではダメです。最初は一緒に取り組み、仕事のやり方を見せましょう。2回目は、少し難易度を上げた課題を出して、その都度フォローに回るといいでしょう。仕事のやり方は見せないと分かりません。そして、自分でやらないと一生できるようになりません」(岩瀬氏)
隣の席ですぐに部下のサポートに動けるのであれば問題ないが、テレワークだとそうもいかない。「コロナ禍のテレワークと人事の課題」に関する調査によると、テレワークをやめたいと感じたことがある若手社員の35.5%が「気軽に相談がしにくいから」と回答したことが分かった。
今後、新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、出社率は上がるかもしれない。しかし、テレワークを継続させる会社も出てくるだろう。調査にあるように、若手社員はテレワーク環境下でやりにくさを感じているようだ。テレワークでのマネジメントはどうすればいいのだろうか。
「リアルだと上司の忙しさを見ながら、相談したり、雑談したりと話す機会が生まれやすいです。一方、テレワークは、どうしてもアジェンダに沿った、目的がある会話しかできなくなる傾向にあります。上司のほうから積極的に部下を気にかける発言や、相談できる場を作ってあげることが一層重要になります。出社できるようになったら、出社時に溜まっている質問を解消する時間を設けるなど、テレワークとリアルを使い分けることで、十分にマネジメントの効果が期待できると思います」(岩瀬氏)
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