「部下の成長を促進するマネジメントとは?」と聞かれたときに、自分なりの答えが出せる人はいるだろうか。「マネジメントを正しく機能させるためには、精神論ではなく仕組み化が重要」と主張するのは、累計発行部数60万部を突破した『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)著者、岩瀬大輔氏だ。
新卒でボストン・コンサルティング・グループに入社し、ハーバード大学経営大学院に留学。2006年に副社長として、ライフネット生命保険を立ち上げた。岩瀬氏の過去の経験をもとに、「部下の成長を促進するマネジメント術」を聞いた。
そもそもマネジメントとは何なのだろうか。なぜ必要なのか。岩瀬氏は、「会社に所属し、大きな仕事を成し遂げようとするためには、たくさんの人の力が必要になってきます。マネジメントとは、部下の力を効率よく引き出し、育成しながら仕事を成功に導くことです」と話す。
まず、日本におけるマネジメントの課題について触れておこう。岩瀬氏によれば、日本はプレイングマネージャーが多く、自分の仕事もしながら、部下の面倒を見ている人が少なくないという。結果として、現場業務に追われ、部下に向き合う時間が少なくなり、画一的なマネジメントに陥る可能性がある。
「マネージャーの仕事は、『部下の力を引き出し、育て、プロジェクトを成功させること』です。自分の仕事で手一杯になり、部下の世話ができないのは、本末転倒だと思います」(岩瀬氏)
19年にリクルートワークス研究所が実施した調査によると、約9割のマネジャーが、現場業務とマネジメント業務を並行して行っていることが分かった。また、現場業務に50%以上の時間を割いているマネージャーの割合は、約3割に上った。
現場業務を行う理由として、約半数が「業務量が多い」と回答。「部下の力量不足」「目標を達成できないから」といった声も多く寄せられた。
調査からは、部下のマネジメントよりも現場業務に時間を割いている可能性が読み取れる。指摘の通り「本末転倒」の状態だ。
岩瀬氏は「『部下の面倒を積極的に見ましょう』という精神論でマネジメントは改善されません。いかに仕組み化し、運用、改善していくかが重要です」という。
ボストン・コンサルティングでは、マネージャーの評価制度のコアな部分に「部下の育成」が組み込まれている。3〜4カ月に1回の頻度で、プロジェクトごとに上司と部下を互いに評価しあう。「育成」の項目で部下からの評価が低い場合は、昇進できない仕組みだ。
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