わずか3日で完売! ミズノ×マツダの「ドライビングシューズ」は、どんな特徴があるのか週末に「へえ」な話(2/4 ページ)

» 2021年07月11日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

まずは「技術交流」

 ミズノとマツダが出会ったのは、2015年のことである。すぐに意気投合して「一緒に、世の中をあっと言わせるようなシューズをつくりましょう!」とガッチリ握手を交わしたわけではなく、当初の目的は素材の知見を深めるために、技術交流を行っていたのである。

 さまざまなチームがいろいろなテーマを議論していて、例えばカーボンであれば、ミズノは「ゴルフクラブに使っていて、ほげほげ」、マツダは「こういった加工をして、うんぬんかんぬん」といったやりとりをして、双方がそれぞれの技術を学んで、会社に持ち帰るといった具合である。

技術交流の場からドライビングシューズは生まれた

 そんな情報交換の場から、なぜシューズが生まれたのか。ミズノからはフットウェア部門の人たちが、マツダからはサスペンション部門の人たちが、それぞれ参加する会があった。「ウチはこんなことをやっているんです」といった会話をしているうちに、マツダの担当者からこのような意見があったという。「当社は人間中心のクルマづくりで、人馬一体の走りを追求している」と。一方のミズノからは「スポーツ用品を開発するために、当社は人の動きを研究して、人と用具の調和を追求している」と。

 この言葉を聞いて、どのように受け止めただろうか。「うーん、どこか似ているかも」と思われたかもしれないが、テーブルを囲んだ両社は「ミズノとマツダは同じ姿勢で仕事をしているではないか」などと感じ、意気投合したのだ。その後も情報交換をしていくうちに、シューズとクルマづくりはどこか似ていることが分かってきたという。

議論を重ねていくうちに、シューズとクルマづくりに共通点があることが分かってきた

 シューズには、大きく分けて3つの役割がある。1つめは、靴底のことを意味する「アウトソール」。2つめは、着地の際にチカラを分散させる「ミッドソール」。3つめは、衝撃などから足を保護する「アッパー」。

 一方のクルマは、どうか。シューズのアウトソールはタイヤ、ミッドソールはサスペンション、アッパーはボディ――。「プロダクトの上に人が乗っていて、地面にチカラを伝えて移動する」と考えると、シューズとクルマづくりは似ているところがあるのかもしれない。

 両社の思想が似ていて、シューズとクルマの構造も似ている。技術交流の場でこのことを確認して、「はい、おしまい。では、さようなら」と別れてしまっていいのか。何も生み出さないまま終わってしまうのはもったいないと考え、クルマを運転しているときに履く「ドライビングシューズ」を開発することはできないかといった話になったそうだ。

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