ではバッテリーにおける閾値を決めるのは何か? それは原材料価格とバッテリー生産のコストである。限られた原材料を多くのバッテリーメーカーが奪い合えば、当然売り手市場になって原材料は高騰する。これが値上がりの理由その1だ。
もう1つは新規に立ち上げるバッテリー工場のローンチコストである。工場の立ち上げにはばく大な先行投資が必要だ。事業である以上、その先行投資を回収しないわけにはいかない。長く稼働していて、投資のリクープがあらかた済んでいるような工場と、新規で立ち上げる工場を比較すれば、当然新規の工場の方がコストは高くなる。ましてや生産を開始してしばらくは、ノウハウが少なく、生産性も高くない。なので製造に関してもコスト高要因が増える。
という現状をナチュラルに見れば、バッテリー価格は上昇すると見るのが自然である。少なくとも下がる要因はどこにも見当たらない。
ということでずいぶんと長くなったので、一度このあたりで締めて、次回は世界に渦巻くレアメタル採掘の闇について深掘りしていきたいと思う。
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミュニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う他、YouTubeチャンネル「全部クルマのハナシ」を運営。コメント欄やSNSなどで見かけた気に入った質問には、noteで回答も行っている。
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バッテリーEV(BEV)やプラグインハイブリッド(PHV)などの「リチャージ系」は、自宅に充電設備がないともの凄く使いにくい。だから内燃機関はしぶとく残るし、ハイブリッド(HV)も然りだ。ただし、カーボンニュートラルにも目を配る必要はある。だから、それらを補う別のエネルギーを開発しようという機運はずっと前から盛り上がっている。
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トヨタ自動車は2020年12月25日に、超小型モビリティEV車、「C+pod」(シーポッド)を、法人と自治体を対象に限定して発売した。価格は2グレード構成で165万円と171万6000円(それぞれ税込み)。
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「内燃機関が完全に滅んで、100%全てのクルマがEVになる」という世界は、未来永劫来ないだろう。そのエネルギーミックスの中にまさに水素もあるわけだが、FCVにはいろいろと欠点がある。しかし脱化石燃料を目標として、ポスト内燃機関を考え、その候補のひとつがFCVであるとするならば、化石燃料の使用を減らすために「化石燃料由来の水素」に代替することには意味がない。だから水素の製造方法は変わらなくてはならない。また、700気圧という取り扱いが危険な貯蔵方法も変化が必要だ。
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