マーケティング・シンカ論

「おジャ魔女どれみ」とコラボで“想定以上の効果” 第一三共ヘルスケアが、制約だらけの医薬品で挑むデジタル戦略デジタル販促戦略の現在(3/4 ページ)

» 2021年07月19日 10時28分 公開
[田中圭太郎ITmedia]

ストーリーと商品のメッセージが合致

 もちろん、単に懐かしのキャラクターとして人気があるだけでは、医薬品であるトラフルの売上増には結び付かない。北條氏は『おジャ魔女どれみ』を当初は知らなかったそうだが、調べてみるとストーリーや設定にトラフルで伝えたいメッセージと重なる部分があることが分かった。

 「『おジャ魔女どれみ』はトラフルと親和性がありました。一つは食と関連する物語だったことです。『おジャ魔女どれみ』の最初の主人公は、ステーキを生み出す魔法を使うのですが、魔法の力が足りなくてステーキを食べられない状況が続きます。食べたいのに食べられないのは、口内炎になって一番つらいことと同じですので、コラボしやすかったですね。

 もう1つは、20周年記念で公開された映画が、20代の女性たちを主人公にして、社会でストレスを抱えながら、悩み、葛藤するところを描いている作品だったことです。アニメをリアルタイムで見ていた人たちが共感できる内容で、たまたまですがトラフルのメッセージとも合致しました」

 20代の女性に広く訴求することができた『おジャ魔女どれみ』とのコラボは、WebとSNS、それに店頭が中心という制約の中での販促だったにもかかわらず、大きな成果を挙げた。

 「この時期は他に特別な施策はしていませんので、『おジャ魔女どれみ』とのコラボが売り上げ増に寄与したと考えています。63秒の動画には、過去のアニメを見ている人であれば、はっとするような場面を随所に入れました。Twitterではそのことに気づいていただいた方から、『これはあの場面のオマージュだ』といった熱量の高いコメントをたくさんいただきました。結果的に、これまでになかったようなコミュニケーションができたと思います」

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