6月中旬、植毛クリニックを展開する「雍禾医療集団(ヨンホー)」が香港でIPOを申請した。承認されれば中国植毛業界で初めて上場企業が生まれる。
目論見書や報道によると、同社は中国国内50都市で51のクリニックを経営し、植毛業界でのシェアは11%(20年時点)。売上高は18年が9億3000万元(約160億円)、19年が12億2000万元(約210億円)、20年が16億4000万元(約280億円)と順調に伸びている。
複数の報道によると創業者の張玉氏は35歳。中学卒業後に軍隊に入り、05年に退役して美容クリニックに就職した。そこで、美容医療の潜在的ニーズの大きさと利益率の高さを知り、個人で医師を雇って植毛手術を副業で手掛けるようになった。その後、植毛クリニックを立ち上げ、海外から最新技術や機器を導入し、事業を拡大していったという。
「雍禾医療集団(ヨンホー)」のWebページでは、医師が脱毛や植毛について説明する動画も公開されている
中国の保健衛生を司る国家衛生健康委員会が19年に発表した報告によると、中国では国民の6人に1人に相当する2億5000万人が抜け毛に悩んでおり、内訳は男性が1億6300万人、女性が8800万人。また、薄毛を自覚している人の84%が30歳前に抜け毛が始まったと回答し、報告は「一世代前に比べると、抜け毛が始まる年齢が20年早くなっている」と分析した。
薄毛マーケットの若年化を示すデータは他にもある。医療プラットフォーム「丁香医生」が20年に発表した調査では、95後(1995〜1999年生まれ)の59%、と2000後(2000年代生まれ)の39%が「髪のことが心配」と回答した。
また、調査会社のiiMedia Researchのレポートでは、植毛を検討している人の平均年齢が34歳であることも示された。
バイドゥの「2020年植毛業界分析報告」によると、回答者の60%が25歳前後で抜け毛に気づいたと答え、オンラインで育毛剤などを購入するのは20代が過半数を占めるという。
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