新型コロナウイルスによるビジネス環境の変化をきっかけに、DXに取り組む企業が増えた。その流れは採用領域にも及んでいる。
今後、企業の採用活動はどのように変わっていくのか。その際に生じる課題とは何か。採用領域のHRテックに携わる2人のCEO──ZENKIGENの野澤比日樹氏(代表取締役CEO)とシングラーの熊谷豪氏(代表取締役CEO)が対談した。
シングラー・熊谷豪(以下、熊谷): 野澤さんはなぜ採用に関わるサービスを提供しようと思ったんですか?
ZENKIGEN・野澤比日樹(以下、野澤): サイバーエージェントで働いていたときに、約12年間で3000人ほどの学生を面接しました。事業部長になってからは、僕が出るのは3次面接以降。それなのに、明らかにカルチャーマッチしていない人もいたりする。その中には、地方から長い時間かけて来てくれた人もいました。
オンラインで5分話せばお互いのミスマッチが分かるような場合も、わざわざ学生さんに来社してもらって、面接官も面接時間を確保して……と、両者にとって非常に非効率なことが行われていたんです。
その後、7年間別の仕事をしてから、起業する際に採用業界のことをあらためて調べてみたら、全く状況が変わっていないことに気が付きました。オンライン会議もすでにあるのに、候補者を呼び出す企業がスタンダードのままでした。
そこで、AIを用いてこの互いにとって非効率な面接を再定義できないかと考え始めました。今年の2月に選考に用いる動画をAIで解析する機能「harutaka エントリーファインダー」をリリースし、年内にはWeb面接の解析ツールのリリースを予定しています。
熊谷さんはサービスを始められた原体験はありますか?
熊谷: シングラーを立ち上げる前は、採用の戦略や改善をおこなう会社を経営していました。そのときに、さまざまな企業の採用面接に同席して、心苦しくなるシーンを何度も見てきたんです。
面接官が居眠りしていたり、圧迫面接をしていたりと論外なものもありましたが、一番見てて辛かったのは、学生さんの聞きたいことと、面接官が話したいことがかみ合わないケース。
現場メンバーが面接官を担当する際に、面接の進め方のトレーニングが不十分だったり、引き継ぎの情報が曖昧だったりする場合に多く見られました。そこで、採用面接のパターン化の領域ならば、テクノロジーで代用できるだろうと考え、採用においての人材分析システム「HRアナリスト」を作ったんです。
事前アンケートを元に候補者を分析して、最適なコミュニケーションを提案するものです。面接官の準備がしっかりできることで、面接官と学生さんの両者にとって、良い時間になることを目指していました。
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