乱暴ないい方をすれば、10年に成田スカイアクセスが開業してから11年、現在まで北総鉄道の売り上げは京成電鉄に吸い上げられていた。もし上下分離とせずに、北総線区間は独自に売り上げを計上し、適切な配分を受けていれば、北総鉄道はもっともうかった。累積債務を繰り上げられたかもしれないし、運賃を安くできたかもしれない。
この仕組みが続いたら運賃値下げの原資はたかがしれている。累積債務は返済できたとして、収入総額が変わらなかったとしても、決算資料にあるように、施設は老朽化して更新が必要だし、新型コロナウイルスの影響で乗客は減っている。北総鉄道は決算資料で宣言した手前、なんとか値下げしてくれるだろう。しかし、大幅な値下げは期待できない。
北総鉄道を大幅に値下げする方法は3つある。1つは上下分離方式を解消し、北総鉄道の売り上げについて、京成電鉄との案分を解消する。これで北総鉄道の収益が増える。2つめは北総鉄道を完全な第三種鉄道事業とし、営業面は京成電鉄にすべて譲渡して、全線を京成電鉄とする。料金体系も京成電鉄のルールにする。北総鉄道は施設管理会社だから利益は出ない。しかしその場合、旧北総鉄道区間の運賃、都心との運賃は劇的に下がる。3つめは北総鉄道を解散し、施設をすべて京成電鉄に譲渡する。これで京成電鉄の運賃体系になる。
そこまでしないと、いままで高額運賃を我慢してきた人、高額運賃ゆえに通勤費が支給されずバスでほかの路線を使うルートになってしまった人などは納得しないと思う。
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