「これだから若者は」じゃ進展せず オジサン社員と若者社員、心のスキマを埋めるには?半年もたたずに辞めてしまう新人(2/3 ページ)

» 2021年08月16日 08時00分 公開
[土井裕介ITmedia]

社会に出てたった数カ月で「使えない」烙印?

 筆者(ちなみに1980年生まれ)が労務相談を受ける中で、イマドキの若者と言われるような人は「問題社員」と定義されがちな印象があります。「指導しても効果がない」「指導するとふてくされる」――ひどいときには「能力がない。辞めてもらいたいけれど、どうすればいいですか」といった相談も少なくありません。

 しかし、社会に出てたった数カ月しかたっていないのに「能力がないヤツ」と烙印を押すのは早すぎます。また、そう決めつけるに至った背景を深掘りして聞いてみると、上司のフィードバックが不十分なケースや、「これくらいは言わなくても分かるだろう」といった経験則からろくに指導できていないケースもあり、上司や先輩側に問題がある職場も散見されました。

 指導する側の世代は就職氷河期を勝ち抜いてきた人が多く、仕事を教わったというより、「先輩や上司の仕事を見て覚えた」「数をこなして身につけた」といった人が多いのではないでしょうか。また、否定されたり、怒鳴られたりしたことをきっかけに、先輩や上司を見返してやろうという思いで仕事ができるようになった世代でもあります。自分の経験をそのまま「イマドキの若者」に当てはめてみるも全く受け入れられず、コミュニケーションギャップを感じてしまう人も多いはずです。

photo 画像はイメージ(出所:ゲッティ イメージ)

若者の気持ち、理解したいんです!

 では、新入社員の気持ちを理解できない上司は、どうすればいいのでしょうか。まず、「最近の新入社員は自分自身が成長できる環境に身をおくこと」「貢献できること」を重視する傾向にある――とは、さまざまな統計結果で言及されています。その仕事を何のために行うのか、その仕事によりどういう状態になれるのか、といったゴールを明確にしてあげることがモチベーションアップにもつながります。

 「背中を見て覚えろ」や、ただ単に「頭を使え」ではなく、まず理解させる取り組みが必要です。指導の際にも、現在の立ち位置を明確にした上で目的のゴールを設定し、何が足りないのか、どうすれば現在とゴールまでのギャップを埋められるのかを適宜フィードバックする必要があります。それが、新入社員の成長につながるのではないでしょうか。

 また、イマドキの若者世代は物心ついたときからSNSが普及した中で育っていることもあり、対面でのコミュニケーションは得意ではないと言われています。コミュニケーションギャップをなくすためには、自分が意識する以上に小まめに声掛けをすること。気に掛けていると感じてもらう、といったことが新入社員との距離を縮める上で必要と言えるでしょう。

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 では次は、ハラスメントの境界線から新入社員への指導方法を探ります。

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