「最近の子は、何を考えているのか分からないです」
とある会社に勤める人事担当者の加藤さん(仮名)から、新卒者の退職について相談を受けた際に聞いた一言でした。
話を聞くと、4月に入社した安藤君(仮名)から、7月に「友人と旅行に行く約束をしているので3日間休ませてほしい」と申し出があったそうです。当時、現場の上長が「有給もまだないのだから、ダメに決まっているだろう」と伝えたところ、翌週から出社しなくなり、数日後に「先週いっぱいで辞めさせていただきます」とLINEで連絡があったといいます。
加藤さんによると、何を考えているのか分からない“最近の子”は、安藤君だけではないそうです。ほかの部署の新入社員が、その日中に完了させるように指示された仕事が終わっていないにもかかわらず、何も伝えないまま帰宅してしまったといいます。
翌日に理由を聞くと「定時になったので帰りました」と言われ、あぜんとしてしまったというのです。読者の皆さまの職場でも、似たようなびっくり事例があるのではないでしょうか。
公益財団法人日本生産性本部と一般社団法人日本経済青年協議会が2019年度に公表している「働くことの意識」調査では、「仕事中心」か「(私)生活中心」かの設問に対して「両立」の回答が多数を占めています。しかし一方で、「仕事中心」の回答者は減少し、「(私)生活中心」の回答者は増加しています。この調査結果を見るに、仕事よりも私生活中心の考え方が広がり、差が開いている傾向にあることは間違いないようです。
さらに「人並み以上に働きたいか」の設問においても「人並み以上」が減少し、「人並みで十分」が63.5%と過去最高を更新している結果も出ています。つまり、仕事はそこそこでよく、プライベートを充実させたいといった傾向にあることが調査結果から読み取れます。
イマドキの若者は、昭和に生まれた人とは育ってきた時代背景が異なることから、根本的な価値観の違いがあることは否めません。従って「俺の時代はこうだった」や、「まったく最近の子は」といった言葉の根底にある世代間ギャップは、職場において永遠のテーマであることを理解した上で、価値観の違いを受け入れる必要があるのです。
しかし、そもそもイマドキの若者が「できない子」と考えているなら、それは大きな誤解です。
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