アルパカは、これまで法人向けにAI技術を提供するのがメインの事業だったが、このアルパカロボの開始にあたっては、自らが証券会社となりユーザーに直接情報を提供する形を取る。ただし、ユーザー接点については昨今存在感を増してきているIFA(独立系フィナンシャルアドバイザー)と組んで、サービスを提供する。
タッグを組んだのが、富山県に本社を置くIFAのFanだ。「アルパカはAIのプロではあるが、お客の気持ちに寄り添うことは得意ではない。AI技術をどうデリバリーするかが、Fanとの協業の狙い」と四元氏は話す。別のIFA、ブロードマインドとも提携しており、複数のIFAと組んで接点を拡大していく狙いだ。
Fan側でも、新たな商品としてアルパカロボに期待する。同社は、ポートフォリオを組んで長期的に資産を増やしていく、ゴールベースの資産運用提案を中心としているが、「なかなか概念が知られておらず、株の相談ができるアドバイザーと見られがちだった」(Fanの尾口紘一社長)。
どの株を買ったらいいのか? という相談に対しては、「株式については自分でやってください」と答えていたというが、顧客ニーズとのかい離が悩みの一つだった。ゴールベースの運用提案と、株式推奨銘柄のアドバイスは内容が相当違う。「残高を積み上げるビジネスモデルを目指すのか、回転させるビジネスを目指すのかというくらいの違いがある」と、尾口氏は言う。
この解決法の一つが、アルパカロボの提供だった。人の代わりにAIが銘柄推奨を行う。これによって、IFAの事業モデルを変更せずに、顧客ニーズに対応できるようになる。
アルパカロボは、8月のスタート直後から数百件の口座開設申し込みがあった。目標は月間1000口座だが、「最終的に何十万口座もあり得る」(尾口氏)と見る。
事業モデル的にチャレンジとなるのは、口座を開設さえすれば、アルパカ証券で売買しなくても、推奨銘柄はすべて確認できる点だ。手数料無料で取り引きできる証券会社が増える中、アルパカ証券では取り引き金額の0.55%を手数料とする。
「手数料はサービスの価値だ。投資を楽しいと思っている人たちは、手数料にそこまで敏感ではない。逆に手数料に敏感なのは、すでにネット証券で取り引きをやっている人たち」だと四元氏。
AI技術の発達で、人の代わりにAIが銘柄を推奨し、買い時、売り時もアドバイスできるようになった。これまで機関投資家だけがそうした情報を得ていたが、アルパカロボの登場で、個人投資家でも簡単にアクセスできるようになる。
「アルパカロボをスタートに、米株版などが求められるかもしれないし、違うポートフォリオ型が求められるかもしれない。IFAのプロと一緒に、楽しさを感じながら資産形成をしていってほしい」(四元氏)
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