27時間で完売! ダイヤルを回すだけで温めることができる「レトルト亭」が面白い週末に「へえ」な話(1/4 ページ)

» 2021年09月05日 08時02分 公開
[土肥義則ITmedia]

 朝早くから仕事をして、夜遅くまで残業――。家に帰ると、クタクタである。忙しい毎日を送っていれば、料理をつくるどころか、レトルトカレーを温めることさえ「面倒くさいなあ」と感じる人が多いかもしれない。

 そんな人に向けた商品が登場し、SNSを中心に話題になっている。ダイヤルを回すだけで、レトルトパウチをそのまま温めることができる「レトルト亭」(製造:アピックスインターナショナル)だ。

レトルト亭が売れている

 「はい、はい。いわゆる“オモシロ家電”ね。ちょっと話題になって、すぐに店頭から消えていくやつでしょ」と思われたかもしれないが、8月30日にクラウドファンディングの「マクアケ」で先行発売(6140円から、一般販売は7680円)したところ、用意していた1000台が27時間で完売。あわてて工場に追加発注をして、なんとか2000台を確保したものの、それも9月5日に売り切れてしまったのだ。

 レトルト亭の構造は、シンプルである。本体の中に設置した特殊な低温ヒーターで、レトルトパウチを挟むだけ。あとはダイヤルを回せばレトルトの4番バッターともいえるカレーのほかに、丼や総菜などパウチに詰められたモノをどんどん温めることができるのだ。

レトルト亭の構造

 それにしても、なぜアピックス社はこのようなアイテムを開発したのだろうか。商品開発を担当している佐藤元紀さんに話を聞いたところ、きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大である。2020年4〜5月に緊急事態宣言が発出されて、同社の東京オフィスで働く人たちは在宅勤務になった。

 それまでの佐藤さんはランチを外で食べていたが、家で用意することに。レトルトカレーなどを食べることが増えていったそうだが、あるときこのように感じたという。「お湯を沸かすのが面倒だな」と。

 料理が大好きな人にとっては、ちょっと信じられないコメントかもしれないが、佐藤さんは「お湯を沸かすこと→面倒→解決するアイテム→ビジネスチャンスかも」と考えたのだ。とはいえ、レトルト食品の市場が縮小していれば、“金の卵”と思えたアイデアも、ただの卵になってしまう。

 日本缶詰びん詰レトルト食品協会のデータを見ると、巣ごもり需要としてレトルトが売れている。過去5年間の生産数も上昇傾向にあるので、佐藤さんは「これはいけるかも!」と感じ、商品開発に向けて一歩進み出したのだ。

レトルト食品の市場が伸びている(出典:日本缶詰びん詰レトルト食品協会)
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