――日本でジャンプの漫画はかなり人気がありますが、海外ではさらに強い印象があります。なぜこんなに人気があるのですか?
籾山: そもそもジャンプの漫画作品自体がコンテンツとして強いという点があります。個人的な意見も入りますが、ジャンプにはアンケートのシステムがあって、競争が働いて、毎話連載で人気を取ろうとの意識が強くあります。そして、作品が発表されれば多くの読者が読むので、評価のシステムを通して作品が発見されやすい。激しい競争をしながら読者とともに連載が育っていく。これがジャンプ漫画の強さの一つでないかなと思います。
――MANGA Plusは海外のファンとダイレクトにつながり、コメント機能もあります。ここからデータを取得して分析、活用していくことはありますか?
籾山: 海外のライセンシーからオファーがあって本を出版・配信するのが現状のビジネスモデルですが、MANGA Plusでの連載をそこで活用しています。
例えば、「少年ジャンプ+」連載作品の『怪獣8号』や『SPY×FAMILY』は1話目からかなり読まれていました。各国の出版社はMANGA Plusを見ているので、そこで内容と現地の読者の反応をチェックします。
また、僕らが出す各国のデータも材料にしているようです。日本での1巻の売り上げを見てから判断……といったスピード感ではなくなっています。あと、いま海外での映像販売や配信の権利販売が大きくなっていて、アニメ化するときにMANGA Plusで人気があるかどうかは、よく聞かれるようになりました。
――MANGA Plusがファンのコミュニティーであることは目指していますか?
籾山: コメント欄を通じて、ファンが感想を言い合っていますね。ただ一番の目的は、新しい面白い漫画を世に出すことで、海外に対してもそうした機能を実現することです。作品を生み、届けること。編集部が運営するのは、そういうことだと思うんです。最新話を公開して、各国での人気と反応を次に生かすことはまさに漫画雑誌です。
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