前述した優良電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用にあたっては、仕訳帳、総勘定元帳等の法令上保存が必要な全ての帳簿が優良電子帳簿の要件を満たしている必要があります。
例えば、売上や仕入について集計後の金額で仕訳入力している場合には、仕訳帳、総勘定元帳だけでなく、個々の売上明細や仕入明細が入力されている売上帳、仕入帳等の帳簿データも含めて優良電子帳簿の要件を満たしている必要があります。
また、過少申告に係る修正申告・更正に重加算税対象が含まれている場合には、過少申告加算税の軽減措置の適用はありません。
その他、個人の青色申告者が、優良電子帳簿の要件を満たして帳簿データを保存し、所定の届出書を提出している場合には、青色申告特別控除額が10万円上乗せされ65万円となりました。
スキャナ保存データや電子取引データについて、災害等やむを得ない事情がある場合を除き、法令要件を満たして保存することができなかった場合の当該データについては、税法上の保存書類として取り扱われないこととなりますので注意が必要です(この場合であっても当該データを保存する必要はあります)。
また、スキャナ保存データや電子取引データに記録された事項等に隠蔽(いんぺい)または仮装による不正事実が確認された場合には、対象税額に係る重加算税がさらに10%加重されます。
前述のうち、過少申告加算税の軽減措置および重加算税の加重措置については、2022年1月1日以降、法定申告期限が到来する事業年度に係るデータを対象として適用されます。
また、法令要件違反があった場合の取り扱いについては、2022年1月1日以降保存するスキャナ保存データおよび同日以降授受する電子取引データから適用されることになります。
事前承認制度が廃止されることにより、各事業者の採用するシステムや運用方法等が電子帳簿保存法の要件を満たしているか、国税当局の事前確認を受けることなく電子化が進められることから、今後は、税務調査において法令要件違反を初めて指摘されるというケースも増えると思われます。
特に、2022年1月以降は電子取引データを法令要件通りにデータで保存することが厳に求められますので、事業規模等に応じて業務処理プロセスの見直しや社内ルールの再整備を行い、必要に応じてJIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)により認証されたソフトウェアなど法令に準拠したシステムの導入等も検討すべきでしょう。
SKJ総合税理士事務所・SKJコンサルティング合同会社/税理士
都内税務署・国税局調査部・国税庁等の勤務を経て税理士登録。現在、SKJ総合税理士事務所にて、税務コンサルティングのほか、企業の文書電子化コンサルティングを行っている。
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