――ん、「はがれにくく、はがしやすい」とは矛盾していませんか?
松木: それはおっしゃる通りで、相反するものをどう両立していくかがポイントでした。のりメーカーさんと連携し、「製造ラインの中でしっかり使えること」「お客さまに届くまではがれないこと」「お客さまが使っている最中もラベルが落ちたりしないこと」、ただ「お客さまがはがそうとしたら簡単にはがれる」といった当社が求める性能をお伝えして、成分のブレンドを変えながらテストを一緒にしていきました。
具体的な製造方法は明かせませんが、開発開始から2年後の04年から主力製品の「アヲハタ 55」シリーズなどで、はがしやすいのりの使用を開始しています。
実はのりだけではなく、びんも変化しています。当社は以前からガラスびんの軽量化にも取り組んでいて、表面に傷が付きにくくするためコーティングをしています。そのコーティングとのりとの組み合わせでこのような性能を実現させています。
――聞けば聞くほど矛盾していますね……。当時の担当者は大変だったのではないですか?
松木: 当時担当していた社員が1人だけ残っていまして、あらためて話を聞いたところ、機械も改造し、お客さまの手元に届くまで「はがれない」ためにどこまでの強度が必要なのか、そしてお客さまが「はがしやすい」と感じる強度はどのあたりか詳しく突っ込んで研究していたようです。
やはり相当大変だったようで、当時は「お湯でこすればはがれるのに、なぜ簡単にはがすためにこんなに苦労しないといけないのか」といった声もあったようです(笑)。ただ「絶対にお客さまに喜んでもらえるだろう」との信念で開発を進めた結果、今でも定期的に「アヲハタのラベルははがしやすい」といったお声をいただくので、当時やっていたことは間違ってなかったのかなとは思いますね。
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