多様化という意味では、20〜30代の意識変化も顕著だ。
サントリーが独自に調査したところ、20〜30代は、特定のメーカーや特定のブランドのビールを飲みたいというよりも、いろいろなものを飲みたい、楽しみたいという志向が強いことが見えてきた。
大手メーカーが手を変え品を変え、さまざまな限定品を出すのは、そんな志向にこたえるためでもある。サントリーでも今年の7〜10月、毎月「ザ・プレミアム・モルツ」の限定品を発売する。
その一方で、わざわざ限定品を出さずとも希少価値があるのが、小規模のブルワリー(ビール醸造場)から生み出される、いわゆるクラフトビールだ。
大手メーカーと比べれば生産量が少ないため、「いつでも」「どこでも」手に入れられるものではない。「飲んでみたいからわざわざ取り扱っている店まで行く」というのは、酒好きにとってはちょっとしたイベントだ。
ブルワリーとしても、既存のビールと似通ったものを作るのであれば存在意義がないから、自分たちが飲みたいもの、飲んでほしいものを作り上げるために、とことんこだわる。
日本では長らく、大手メーカーによる、のどごし重視のピルスナータイプばかりが流通していた。クラフトビールメーカーの出すペールエールやIPAに触れて「こんなビールもあるのか」と初めて知った人は少なくないだろう。
現在、クラフトビールは10年代中盤からの第3次ブームとされる。国内のブルワリーはここ数年で急激に増加し、500を超えた。
第3次ブームでは、サントリーはじめ、大手メーカーも「クラフト」と銘打った商品を売り出しはじめた。大手までクラフト市場に参入し、個性的な味わいのビールがこれまでにないほど出回るようになった。結果、大手と中小規模メーカーとの垣根は曖昧になりつつある。
ただ、大手メーカーの商品に対して、ストーリーを求める人はまだまだ少ない。その点では、クラフトビールメーカーだけではなく、国内で300を超えたワイナリーもライバルだ。
「パーフェクトサントリービールもザ・プレミアム・モルツも、材料にこだわりがあり、製法にこだわりがあります。
ストーリーはブランドが選ばれる理由の根幹になるものですし、お客さまに対してお話したいことはたくさんあります。ですから、これまで伝えきれていなかった価値をどうやってアピールしていくかは問題意識としてありますね」(稲垣氏)
商品名に「パーフェクト」ってどうなの? 「パーフェクトサントリービール」担当者が社内を説得できた理由
レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か
新成人が「欲しい車」ランキング 3位はフォルクスワーゲン、2位はBMW、1位は?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング