吉利は9月28日、創業者の李書福氏が武漢市にスマートフォン製造メーカー「湖北星紀時代科技」を設立し、武漢経済技術開発区と戦略的提携を締結したと発表した。資本金は8000万元(約14億円)で、李氏が株式の55%を保有する。
李氏は提携契約式典で、ハイエンド端末を手掛けると表明。「業界をまたいでユーザーのエコシステムをつくる、企業の周りに堀を作ってユーザーを囲い込むのがトレンドになっている。スマートフォンとコネクテッドカー、衛星インターネットを連結することで、ユーザーに便利なスマートライフを提供できる」と述べた。
実は吉利のスマートフォン参入について、SNSでは「今さらスマートフォンとは」「自殺プロジェクトだ」と否定的な声が殺到した。
iPhoneが登場したのは2007年。最初の数年は台湾、欧州、日本の名だたるメーカーが参入してシェアを競っていたが、近年はグローバルでアップル、サムスン、中国の“華米OV(ファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivo)”が市場を寡占し、中国ではアップルと華米OVの5社で8〜9割のシェアを握っている。実際、エアコンメーカーの格力電器など、異業種参入した大手企業はことごとく惨敗している。
また、李氏は「ハイエンドスマートフォン」を生産すると表明したが、既存の中国スマートフォンブランドも同セグメントでは苦戦しており、総合力でアップルに対抗できているのはファーウェイだけだ。
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