さらにいえば、スマートフォンは普及ステージが終わり成熟市場だ。だからこそシャオミは今年、EV製造へ進出したわけだし、アップルも発表こそしていないがEV参入の準備を進め、ファーウェイも中国自動車メーカーと組んでスマートカーのブランドを立ち上げた。
スマートフォン企業がこぞって成長市場のEVに向かっているのに吉利が逆走しているのは、たしかに自殺行為のように見える。だが、吉利がスマートフォン製造に乗り出すのは、本丸の自動車強化の一環である可能性が高い。
吉利は自動車製造が国有企業に独占されていた1990年代後半から、将来的な参入を見込んでオートバイ製造などで準備を進めて来た民営メーカーの雄だ。
中国で自動車が普及した2000年代には自主開発した低価格車を発売し、技術力向上を示しながら、10年には米フォード・モーターから高級車ブランド「ボルボ」(スウェーデン)を買収するなど、アップデートを図ってきた。中国自主ブランド勢の中では、乗用車販売で4年連続首位をキープしている。
EVシフトも強く意識し、18年には「20年までに吉利の販売に占める新エネルギー車(EVやハイブリッドカー)の比率を9割以上に増やす」との目標を打ち出した。
だが吉利のモデル転換は順調には行かず、20年時点で、同社の販売台数に占める新エネ車の比率は5.8%にとどまっている。ガソリン車でも近年は中古市場で高く買い取られる日本車やドイツ車に人気が集中し、中国自主ブランドメーカーは苦戦している。
吉利の決算報告書によると、同社は全国に11工場を持ち、自動車の年間生産能力は210万台。工場稼働率は17年から4年間で84.96%、78.03%、59.45%、45.18%と右肩下がりとなっている。
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