列車が来なくとも、「駅」は街のシンボルであり続ける杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)

» 2021年10月17日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

乗客や列車が減った駅を活用する

 現実の世界を見ると、乗降客が多い駅はヒトだけではなくカネも集まる。駅周辺やエキナカに店舗ができる。「A列車で行こう9」では、駅周辺に商店ができるし、駅舎を駅ビルに建て替えればテナント収入が発生する。

 列車が増えて乗客も増える、さらに列車を増やす、乗客を増やす……という好循環が生まれる。しかし、乗客や列車の運行が減ると悪循環だ。乗客が減ったから列車を減らしたのか、列車を減らしたから乗客が減ったのか。ニワトリとタマゴのような話になる。

 ゲームであれば、無理矢理にでも駅周辺にマンションやオフィスビルなどの子会社を建てて乗客数を維持できる。しかし現実は甘くない。

 列車が来ない駅、乗客が少ない駅はコストを削減して維持する。コスト削減の手っ取り早い方法は無人化だ。駅職員を置かない。しかし建物はある。リアルな世界では、無人駅の駅舎を活用する事例は多い。

 釧網線の北浜駅のように喫茶店やそば店になった無人駅が増えているし、函館線の比羅夫駅は駅舎を改造してペンションになっている。泊まれる駅として鉄道ファンには有名な事例だ。

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