インタビュー
» 2021年10月19日 08時30分 公開

「グランピング市場に価格競争が起こる」 ブームの火付け役、星野リゾートが仕掛ける"生き残り戦略"成長期から成熟期へ(2/3 ページ)

[熊谷紗希,ITmedia]

類似業界からの「参入障壁」が低い

 「グランピング施設にはさまざまな型があります。ホテル併設型、リゾート型、コテージ型、キャンプ場の進化型など既存の事業を生かし、グランピング施設としてリニューアルさせることもできます。実際、アウトドアメーカーのスノーピークが市場に参入し、長野県や神奈川県を始め、全国4箇所でグランピング施設をオープンしています。

 特にここ数年で増えているグランピング施設の多くはキャンプ場の進化型です。ゼロから土地を取得してグランピング施設を作るのは、かなりハードルが高い。一方、もともとキャンプ場という土地と設備があるので、あとはそこにテントなどの宿泊場所を設ければいい。

 小さい設備投資で展開しやすく、特にコロナ禍でキャンプなどのレジャー需要がかなり落ち込んだタイミングに運営方針を転換した事業者も多かったのでないかと見ています」(松野氏)

スノーピークが運営する神奈川県のグランピング施設(画像:公式Webサイトより)

 その他にも、ホテルの室内にテントを建て、アウトドア風な装飾を施し、グランピング施設と銘打つところもあるという。「それはもはやグランピングと呼べないのでは?」とも思われるものの、松野氏はこう話す。

 「人々は旅に”非日常の体験”を求めるため、普段と違う体験に乗っかりやすい傾向があると思います。事業者側は、グランピングというトレンドとの掛け算で、消費者の観光需要を取り込めることが分かっているはずです。人々に受け入れられているからこそ、さまざまな形態のグランピング施設も生まれているのです」(松野氏)

キャンプ場に併設しているグランピング施設などさまざまな形態がある(画像:ゲッティイメージズより)

 グランピングの多くは、BBQをしたり、テントやコテージに泊まったりなど、他の宿泊客との接触を最小限に抑えることが可能な点が特徴でもある。そのため、三密回避が叫ばれたコロナ禍でも、消費者が求める体験とマッチし、市場は順調に拡大していたという。星のや富士も、20年4〜5月は外出自粛の影響を大きく受けたものの、現在はマイクロツーリズム(自宅から1〜2時間程度で移動できる小旅行)など旅の需要を切らさないような提案を続けている。

グランピング市場に価格競争が起こる

 トレンドやコロナ禍が追い風となって盛り上がりを見せるグランピング市場。一方で、松野氏は「現在、市場は成長期から成熟期に向かっている途中だと思います。成熟期が来て、コモディティ化が進むことで消費者は『どこの施設でも大して変わらない状態』になるわけです。

 今、グランピング施設で最も大きな割合を占めているであろうキャンプ場進化型は、そうなったときに『価格を下げる』ことでしか他社に対抗できなくなっていくと考えています」と想像する未来を話した。

グランピング市場で価格競争が起こる(画像:ゲッティイメージズより)

 高級感が特徴である、リゾート型の地位を確立する星のや富士のポジションには、コモディティ化した場合のグランピング市場において、独自の強みを発揮する可能性がある。松野氏は「自分たちの強みを把握して、訴求し続けることが他社との差別化になる。それが、多様性を生み、健全で魅力的な市場形成につながっていく」と説明するが、具体的にどうしていけばいいのだろうか。

 星のや富士が生き残り戦略として実践している取り組みを聞いてみた。

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