――最近、米投資会社が大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツを中国企業に売却する方向で協議しているとの報道がありました。コロナ禍でインバウンド市場は大きく落ち込んでいますが、復活を見越した動きが活発になっているのでしょうか。
趙氏 確かに、良い物件が出たら取得したいと考えている中国の投資家は多いです。訪日外国人旅行者数はコロナ前まで右肩上がりで伸びていて、2011年には620万人でしたが、18年には3000万人を突破しました。
日本政府は20年に4000万人、30年に6000万人という目標を掲げており、20年はコロナ禍の影響を大きく受けたもの、感染が収束すれば再びインバウンド市場が拡大するのは間違いありません。
当社の調査では、海外旅行が解禁されたらまず日本に一番行きたいと答えた投資家が9割近くいました。距離的にも近いし、リピーターも多いので、ニーズが相当たまっているといえます。
日本の施設からの売却相談は昨年5、6月からあり、その頃は先が見えなかったため、価格も底値でした。
今は、投資家側も「あと少しの辛抱」「とりあえず物件を買っておいて、旅行が回復したら運営を再開すればいい」と考えており、価格も上昇しています。伊豆や箱根の旅館や温泉別荘についての商談はちょくちょくありますね。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。
最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。twitter:sanadi37。
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