すでに民間の給与システム等を通じて、従業員が質問に答えるような形で入力をしていき、電子的に控除申告書を作成・提出している会社は、前述したデータ形式で申告書の提供を受けるための要件を満たしていれば、申告書の保存を電子化できます。
ただし、控除証明書等についても電子化をし、検算を効率化するためには、別途、マイナポータル連携機能や従業員が保険会社等のサイトから取得した控除証明書等のデータをインポートできる機能などが必要になります。
利用している給与システム等のベンダーに、これらの機能が実装されているか(またはされる予定か)を確認します。機能が不足する場合は、部分的な電子化にとどまる可能性があります。
システムを使用せず、紙の控除申告書に従業員が手書きして提出している会社は、年末調整の電子化に対応できる民間の給与システム等や国税庁の年調ソフトの導入が必須です。
年調ソフトを使う場合、年調ソフトは申告書データの作成しかできませんので、別途、年税額を計算する給与システムが必要です。
年調ソフトを使う場合、従業員向けの手順書が国税庁ホームページで公開されていますので、アレンジして使うとよいでしょう。
民間の給与システム等を利用する場合は、ネット上で公開されているマニュアルを周知するか、あらためてマニュアルをつくって従業員に配布します。
マイナポータルを利用する場合には、従業員がマイナンバーカードを取得する必要があります。市区町村によっては、取得するまでに時間を要する場合もあるので、早めに手続きをしたほうがよいでしょう。
年調ソフトを使って控除申告書を作成する場合には、年調ソフトのインストールが必要です。
インストールは、Windowsを利用している人であればマイクロソフトストアにて、Macを利用している人であればApp Storeで入手することができます。Androidスマホ、iPhoneを利用している人のインストール先も、先ほど紹介した国税庁の手順書に掲載されています。
マイナポータル連携で控除証明書等のデータを取得する場合には、事前に設定が必要です。
まず、マイナポータルを開設します。このとき、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要になります。
次に、マイナポータルの「もっとつながる」というサービスから、次のサービスにつなげる設定を行います。
マイナポータル連携で取得する場合は、マイナポータルと連携したサービスと保険会社等との連動設定を行います。
例えば、e-私書箱で保険料控除証明書・年末残高証明書のデータを取得したいときは、保険会社等の「マイナ手続きポータル」(保険会社等により名称が異なります)から利用者登録を行います。利用者登録が終わったらログインし、マイナポータルとの連携設定を行います。
保険会社のWebサイトから取得する場合は、保険会社のWebサイトにアクセスして、自分専用のページ(「お客様ページ」などの名称)を開きます。なお、自分専用ページの開設には数日を要することがあります。
次に、保険料控除証明書の電子発行(保険会社によっては違う名称の場合もあります)を選択し、保険料控除証明書等のデータをダウンロードします。
年調ソフトまたは民間の給与システム等を使って控除申告書データを作成し、会社から指示された方法(データまたは書面)で提出します。
なお、控除証明書等のデータを利用する場合、(4)の準備ができていれば、マイナポータル連携によって控除証明書等のデータの取得、または保険会社等からダウンロードした控除証明書等のデータのインポートを行うことができます。
最後に、令和3年分の所得税の改正ポイントを確認しておきましょう。
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