コロナで大苦戦した鳥貴族は“復活”できるか? カギを握る「トリキバーガー」の動向長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)

» 2021年10月29日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

コロナに苦しめられた

 鳥貴族の既存店売上高は19年11月〜20年2月に4カ月連続で前年同月比でプラスだった。17年10月に全品280円(税別)を298円(同)に値上げした影響で、一時期客離れに苦しんでいた。コロナ前は、この低迷期を抜け出して、これからさらなる飛躍が見込まれる状況だった。

 もともと好調だったこともあり、GoToイートキャンペーンでは“無限鳥貴族”が注目された(数百円だけ注文をして1000円分のポイントを得るような行為。後に改善された)。こうした話題性もあり、コロナ前の勢いのまま、20年10月には既存店売上高を前年同月比93.1%にまで戻した。これは居酒屋業界で最高水準であり、ポストコロナで最も早く回復し、業界をけん引するのは鳥貴族だといった期待感が高まった。

 ほぼ休業していた4月がゼロに近い同3.9%だったから、驚異的なV字回復だった。

都内で制限解除後も、午後9時に閉店する店舗

 しかし、その後、新型コロナの感染拡大が断続的に繰り返された。特に東京都や大阪府では、21年に入ってからは9月まで緊急事態またはまん防がほとんど途切れなく発出された。禁酒と時短の要請で、各居酒屋は仕事にならない状況が続いた。鳥貴族も例外ではなく、既存店売上高が21年9月に同8.8%に落ち込むなど、前年より3割以下の売り上げにとどまる月も目立ち、苦戦が続いてきた。

 1都3県と大阪府が緊急事態解除後に行ったリバウンド防止措置を10月25日に解除して、飲食店が通常営業に戻れるようになった。そのため、鳥貴族にとっては、今まで自粛を強いられてきた生活者のリベンジ消費を喚起する絶好の機会となったはずだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.