北海道のローカル線を盛り上げる位置情報ゲーム「テクテクライフ」、仕掛け人に聞く杉山淳一の「週刊鉄道経済」(10/11 ページ)

» 2021年11月07日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

杉山: 温泉旅行ってだいたい1泊2日とか2泊3日で、ずっと風呂に入ってるわけにもいかないから何か手軽に楽しめるイベントが欲しいですよね。食事とお風呂の間に何をしようみたいな。体を動かすイベントがあると、ちょっといい汗をかいてお風呂でさっぱりっていうストーリーができるんですよ。

田村氏: 丸太橋とかね。地元の方の推薦ですけど、ああいうところが観光のスポットになってると、また発見がいろいろあるんですよ。

杉山: チェックインスポットの説明のところに、何でここがスポットになったのか由来が書いてあるんですね。

田村氏: 実はこういう歴史があるんだとか、チェックインスポットから観光や施設の公式サイトへのリンクも張れますから、もっと深く知りたかったらそこをスマートフォンでパッと見ていただけます。

杉山: スタンプラリーのために大きな看板やスタンプ置き場を作るとか、それを管理する人が必要ってことは、デジタルスタンプラリーにはないですね。ボクは説明看板ってその場で読まなくて、スマートフォンで撮ってあとで読むほうが多いです。

田村氏: テクテクからのリンク先を読めば、あとでもじっくり学びを深められる。

近藤氏: それもデジタルの利点ですよね。スマートフォンの中に無限に情報を入れられる。

田村氏: テクテクライフでは、スタンプラリーで集めた各スポットの画像はアルバム形式で見られて、そこから各スポット情報に飛べる。いわば旅の復習ができます。それから「となりぬり」という機能があって、これが旅の予習といえそうです。

杉山: すでに行ったところの隣の地域を実際に行かなくても塗りつぶせる機能ですね。

田村氏: 家で「次はこっちにも行ってみよう」と茶色に「となりぬり」して、そこをリアルに現地を旅して緑色に塗りかえす「現地ぬり」という遊び方ができるんです。訪れる前に「となりぬり」しながらスポットの情報も見られて予習できます。

杉山: 予習、実習、復習、ひとつの旅を3回楽しめますね。

近藤氏: そういう風に楽しんでいただこうと思って、スポットの解説文は気合い入れて書いてあるんです。説明文はこれから始まるほかのラリーでも濃いめに書いていきます。今回は大半を僕が書いてるんですよ。スポットの写真もほぼ自分で撮りに行きました。

杉山: そうか、元新聞記者ですもんね

田村氏: 僕らはチェックインスポットの設定まではできます。でも、全国に設定したスポットで、ちゃんと中身を説明できてるところはそんなに多くないんです。ユーザーさんからスポットの写真や説明文を募集しているんですけれど、反映が間に合わない……。近藤さんはコンテンツも作って宣伝もやってくれて、地域とも話をしてくれて、ほとんどやってくださいました。

近藤氏: これまでの関わりから沿線の各自治体の方にもお話ししやすいですしね。

杉山: こういうプロジェクトは、ワンストップで話が通じる人がいないとまとまらないですよね。

田村氏: これからいろいろな地域で、いろいろな立場の方と関わっていくと思います。最初の一歩だった今回の釧網本線めぐりは手探りでしたが、全部一気通貫でできる近藤さんのような方がいたので実現できたともいえます。

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