約1500人のIT人材を抱え、そのうち1300人ほどをベトナムなどの海外エンジニアが占める──そんな異色の企業「Sun Asterisk」。企業のDXに携わり、事業のデジタル化を数多く手掛けてきた(参考:5年間でベトナム3位の人気企業に 1500人の多国籍IT集団はどのようにして生まれたのか)。そんな同社の小林泰平代表取締役がモデレーターとなり、有名企業のプロジェクト担当者と対談し、どのようにDXを実現したのかを探る。
今回のゲストは、日本瓦斯(ニチガス)の執行役員であり、エネルギー事業本部 情報通信技術部の部長を務める松田祐毅氏だ。
ニチガスは、エネルギー業界向けにクラウドによる業務・物流効率化システム「雲の宇宙船」を提供している。このサービスにより、同社はSaaS事業を新たに開拓。その他にも、コールセンター向けのサービス「ニチガスサーチ」など、ガス会社の領域を超えて、数々のデジタルサービスをローンチした。デジタライゼーションの好例である。これらの事業を率いているのが松田氏だ。
こういったニチガスのサービスは、もともとデジタイゼーション(業務プロセスのデジタル化)として作った社内システムだという。それを外部提供するまでに発展させた。DXでは、業務プロセスではなく事業のデジタル化を目指すべきといわれるが、業務プロセスのデジタル化が未来の新事業につながったのだ。
この例を踏まえて、2人は「デジタライゼーションを目指す企業こそ、まずは小さなデジタイゼーションから始めるべき」という。その真意を語った対談(前後編)をお送りする。
小林: 「雲の宇宙船」は、ニチガスにおけるデジタライゼーションの一例だと思います。どんなきっかけでこの構想が生まれたのですか?
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