ただし犯罪抑止力を考えるならば、ランダムな検査でも効果があると思う。筆者は日本からサンフランシスコ国際空港に到着したとき、身に覚えがないのに係員に呼び止められ、カバンの中身をすべて開けるよう命じられた。初めは驚いたけれども複数の言語で書かれた「関税違反を防止するためのランダムなチェックです。ご協力をお願いします」というカードを見せられてホッとした。
「食べ物はもっていますか」「ないよ」「これは何ですか」「あ、ごめん、イカクンだ。イカの燻製」「イカクン? フード?」「ごめんフード、フィッシュみたいな」そんなやりとりをして解放された。大勢の旅客の前でやられたから恥ずかしい思いをしたし、これで禁止物が入っていたら面倒なことになっただろう。そして、今後、持ち込み物品には気をつけようと思った。公衆の面前だったから、私を見た人々も「あんな目に遭いたくない」と思うはず。つまりこのチェックは有効だと思う。
日本の大都市の鉄道では自動改札が普及している。新幹線改札も自動改札機だ。そこで、数百人に1人、つまり1列車につき1人程度の割合でランダムに改札機をふさぎ、検査を実施してはどうだろう。有人改札でやれば「風貌で選んだのか」とクレームになりそうだけど、自動改札なら「機械が選んだので」と言い訳もできる。
ほとんどの乗客はすり抜けてしまうけれども、検査で発覚するリスクが少しでもあれば、犯罪者は駅に近寄らないかもしれない。最も、そういう冷静な判断力がないから犯罪を起こすともいえるが……。
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