どの組織にもこれら4つのタイプの人たちが存在します。さて人事部門としての問題は、どのタイプの人たちを組織に多く集めたいかです。それは当然ながら、上半分のIとII、すなわち働くことを肯定的に見つめる就労観を持ち、自律的・自導的に仕事に向き合う人たちではないでしょうか。それとは逆に、下半分のIIIとIV、すなわち冷淡に割り切った就労観を持つ他律的・従属的な人はあまり歓迎できません。
多くの企業において人事部門は離職率に神経質です。離職率が同業他社に比べてあまりに高い場合は問題ですが、ある割合の人の入れ替わりはむしろ健全な新陳代謝とみるべきでしょう。人が定着することを無条件に喜んでいいわけではなく、どんな性向の人が居付き、どんな性向の人が去っていくのかに注意を払わねばなりません。
Iのタイプの人材はどのみち流動的です。組織を出て行くことになっても、絆化ができていれば、その後も何かしらの形で協業することもあるでしょう。また、中途採用で入社してくるIタイプの人たちは組織に新しい風を送り込んでくれます。
むしろ懸念すべきは、IIIやIVのタイプの人が組織に増え、居付いてしまうことです。彼らは組織を硬直化させ、気風をどんよりとさせ、IやIIの人を去らせてしまうことにもなりかねません。若いうちはIIだったのが、歳とともにIIIに性向が変わっていくことはよくあることです。能力的な成長の限界感や仕事のマンネリ感などによって、働くことに対して惰性が生まれ、仕事機会を掘り起こすことをやめるからです。また、IVの人がIIIに変化することも起きます。30代前半までは転職先も見つけやすく、より好条件の会社に移れたものの、能力的に実績不足のIVタイプの人ですから、さすがに30代半ば以降は選り好みできようもなく、定住を決め込みます。
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